冬のウバタマムシを深度合成

タマムシの仲間のウバタマムシを漢字で書くと、姥玉虫だろうか。たしかに年老いたような地味な昆虫の印象がある。

ウバタマムシ
ウバタマムシ,2016年2月上旬,東京都

5月にも見たことがあるのだけど、ウバタマムシと遭遇するのは冬の間が多い。1枚目の個体は、桜の幹についたヒロバフユエダシャクを撮影しているとき、見上げるとじっとしていた。前翅にカビのような白い粉をまとっているように見えた。その後も通勤時にフユシャクがよくいる木を一巡りしていると、同じ桜を歩いているのをよく見たから、みかけよりは元気(?)だったようである。

ヤマトタマムシ
(ヤマト)タマムシ, 2016年6月中旬,東京都

ついでに、6月の朝に近所の森にいたタマムシ(別名、ヤマトタマムシ)。法隆寺の玉虫厨子の装飾材にされてしまったことで有名だが、こちらは初夏~夏にしか見ない。夏場の朝にムシを見に行くと、低空をブーンと飛んでいたりするのでそれなりに数はいると思うのだけど、あまり目にしない。

ウバタマムシ
ウバタマムシ,2016年12月中旬,東京都

こちらは最近見た個体で、しばらく冷え込みが続いた後、陽射しが戻った日の朝、擬木でできた柵の上で日光浴中だった。体長35mm程度。

こういうおとなしくて撮影しやすい個体を見ると、深度合成したくなってしまう。例によってOM-D E-M5II + MZD60mmマクロでフォーカスブラケット撮影した。なお、上の写真は、絞りf/8で普通に撮影したが、よく見るカメムシと比べると、とても大きいので写すのが楽。

ウバタマムシ
ウバタマムシ,2016年12月中旬,東京都, 1コマ目
ウバタマムシ
ウバタマムシ,2016年12月中旬,東京都, 10コマ目

露出は絞りf/4で1/125秒(ISO200)、フォーカスブラケットの設定は連写10コマでフォーカスステップ4とした。頭の方から写そうとすると、カメラや人間が日光を遮ってしまって影になるから、尾の方から撮影。むろんのこと手持ち撮影。

ウバタマムシ
ウバタマムシ,2016年12月中旬,東京都 (深度合成)

深度合成にはCombineZPというフリーソフトウェアを使った。1コマ目は尾部にピントを合わせたのだけど、後脚の先に合わせた方がよかった。その場合、連写枚数も+2枚くらいした方が良さそうである。
感覚的な目安としては、絞りf/4、倍率0.5倍強程度からブラケット撮影を開始するならば、ピント面の移動距離は、

0.4 × フォーカスステップ × 連写枚数 (mm)

と考えている。これくらいの撮影距離の場合、絞りがf/2.8でもf/8でも被写界深度はあまり変わらず2~3mmだろう。
上の例では、光軸に沿って擬木の模様がはっきり見えている部分の長さが16mm程度(0.4 × 4 × 10)ということになる。撮影倍率によって、先頭の係数が変わってくると思うのだけど、このあたりは試してみるしかないだろう。

深度合成の実験
深度合成の実験

気が向いたので、机の上で転がっていた単四乾電池を写して合成してみた。絞りはf/4、フォーカスステップ3で10枚。やはり光軸に沿って12mmほど(電池側面では15,6mmほど)の範囲にピントがあっているように見える。

被写体とレンズ光軸のなす角度と、深度に含めたい被写体の面の長さから、ピントの必要移動距離をコサインの計算で(電卓があれば)簡単に求めることもできるが、実際にはそんな計算はせず、連写枚数を増やすでしょうね。

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