ここ数年の5月の前半にあちらこちらで見た蛾の写真など。他の投稿に含まれている写真も含まれています。
シャクガ科
エダシャク亜科のフタテンオエダシャク。1枚目は夕刻に森を歩いていたら、白っぽい蛾が飛び立つのが見えたのでそっと追っていき斜め後ろから撮影。2枚目も1年後にほぼ同じ場所で撮影。
コナラの幹にとまっていた、地味で暗くて不明瞭な模様の蛾。オレクギエダシャクかニセオレクギエダシャクか。なんとなくありそうな3本の黒いスジ、外縁にそった白く鋭角的な波線からオレクギのような気もするが、前翅の茶色っぽい鱗粉がニセオレクギっぽくもある。
外縁にそってちょっと曖昧な白いギザギザがあり、黄色というか金色の鱗粉で前翅の横線が形成されているから、こちらはニセオレクギエダシャクで間違いなさそう。 まっくらなのでフラッシュを使ったが尚暗い。
ヨモギエダシャクは腹が太く、前翅と後翅にキスマークのような?斑紋があり前翅がちょっと長めの印象がある。
某公園管理事務所の壁にとまっていた。この状態で左右の翅頂間が40mmほどあり大きくて写しやすかった。
高尾山周辺で写したナシモンエダシャクとシロオビクロナミシャク。
都内の公園でカルガモのヒナを探した帰り道、朝の8時過ぎ頃に民家の外壁で見た蛾で、ソトシロオビナミシャクと推定した。この状態でさ翅の幅が20mmもない小さな蛾で、目の下のパルピ(下唇鬚・かしんしゅ)が長いのが特徴。前翅の外縁にそって白い波線が走っており腹部の先にも白い帯がある。この個体は紅色だが、色の個体差は大きいようでネットで検索してみると緑色っぽいのも多いみたい。
尾を高く持ち上げて反りかえっているウストビモンナミシャク。薄暗い中にいたのでどういう姿をしているのかパッと見分からなかったが、斜め横から見るとメダマがあったので姿勢が分かった。
草原のツメ草の上にとまっていた。図鑑を見ると、フトベニスジヒメシャク、ウスベニスジヒメシャク、コベニスジヒメシャクの3種のいずれにも見える。暫定的にウスベニスジとしておくことにした。
ヒメシャク亜科のマエキヒメシャクと推定。毎年5月の中旬から6月にかけて白くて小さなヒメシャクをよく見るのだけれど、種名を当てはめるのがなかなか厄介である。この個体は後翅が角ばっているからマエキヒメシャクだろう。前から見ると前縁が黄色いのかもしれないが、いつも葉にベタっととまっているので見たことがない。
ヤガ科
ヨトウガ亜科のヨトウガ。自宅の窓際にとまっていた。漢字をあてると夜盗蛾というくらいで、幼虫は大害虫として有名。うちの庭の草花もけっこうやられた。
杉の幹にとまっていた。ケンモンヤガ亜科のシロシタケンモンと推定。前翅中央あたりの白くて丸い斑紋と、その外側(写真下側)の色のついた斑紋、ギザギザな横線などから推定。
小川沿いに歩いてるとき、ツメクサ類の葉にとまっている白い蛾がいたので撮影。調べてみると、テンクロアツバという蛾のようである。大きさは親指の爪より少し大きいくらいですぐに飛んで行ってしまった。
タバコガ亜科のツメクサガ。テンクロアツバと同じタイミングで見たもので、こちらの幼虫はシロツメクサのたぐいなんかを食べて育つとか。昼間に活動する蛾のようである。4月に吸蜜しているところを見たときはセセリチョウに似ていると思ったが、こうやってとまっていると、いかにも蛾である。
写真手前側の前翅頂が草に隠れてて見えないのではっきりしないが、前翅中央付近の斑紋のかたちでシタバガ亜科のオオウンモンクチバと推定。漢字で書くと大雲紋朽葉蛾。なんとなくモヤっとした模様があるので雲紋と名付けられたのか?
5月に入って遊歩道などをブラブラしていると、足元から元気に飛んで逃げるのをよく目にするようになった。これも昼間の蛾なのだろう。
クルマアツバ亜科のフシキアツバ。頭に近い方の横線(内横線)が直線的ではないのでフシキアツバと推定。パルピが長く牙状に上に反っている。
ヒゲナガガ科
マントを来た宇宙人のような姿であまり蛾っぽくないクロハネシロヒゲナガのオス。
こちらはメス。4月中旬から5月上旬にかけてよく見かけるので、毎年のように撮影している。
ホソオビヒゲナガのオスのヒゲはほんとに長い。1枚目は本体を大きく、かつ、ヒゲも全部入れて写そうとして苦心した記憶。
ホソオビヒゲナガのメス。オスに比べると短いヒゲの根本にビロード状の毛が密生している。この部分でフェロモンを感じ取るとか。
その他
マドガ科のマドガ。昼間によく見る蛾で小さい。黒い翅にある白い紋が窓のようだからマドガという名前になったとか。腹部の先が細長く伸びているのがオスで、ふつうの形状の方がメス。
メイガ科シマメイガ亜科のカバイロトガリメイガと推定。民家の塀とまっていた。1枚目がほぼ横から、2枚目は前から見たところ。翅を下側に反らせ腹と頭は反り返っていた。前から見ると翅の裏側が見えるのが面白い。
ヤママユガ科のオオミズアオのメス。出勤時に羽化したてでまだ翅の伸びていない個体を見つけ(1枚目)、帰り道に翅が伸びたところをフラッシュを使って撮影した。小さな森のある公園なのだけど、この1,2年はオオミズアオも他の蛾もほとんど姿を見なくなってしまった。
うす緑色がきれいなスズメガ科のウンモンスズメ。翅をたたみ気味なので小さく見えるが、翅を広げるとそれなりに大きい。
ツバメガ科ギンツバメ亜科のギンツバメ。この状態で、左右の翅頂間が30mm程度だった。白地に薄墨で模様をつけたような、シンプルできれいな蛾。このとき初めて見て、それ以来見ていないのが残念なところ。
ツトガ科のシロスジツトガ。たぶんコナラの幹にとまっているのを見つけてフラッシュを使って撮影。金色っぽい地色に白い帯が入っている。頭部やパルピも上側は真っ白。
ハマキガ科ヒメハマキガ亜科のシロモンヒメハマキ。ほぼ半円形の真っ白い紋が特徴。公園の通路を区切るロープにとまっていた。フラッシュが必要な暗さだったので手持ちでの深度合成はできなかった。
ヒトリガ科ヒトリガ亜科のキバラゴマダラヒトリを2枚。白い蛾は目立つので、夕刻でもすぐ分かる。背側から見ると、角の生えた獅子頭を被って水玉模様の白いマントを羽織ったような印象。
しょうしょう翅をめくって確認したところ、腹部の背側が黄色かったので、キバラと判断した。
5月前半のまとめ
シャクガ科以外の蛾も意外と写していた。年によってはこの半月間に蛾の成虫をまったく撮っていなかったりする。大型連休もあったはずだから、いったい何をやっていたんだろうか。幼虫はけっこう写しているのだけど、種名が分からないのばかり。