2020年になって最初に撮影したのは、冬尺蛾と呼ばれる種の一つのクロバネフユシャクだった。去年はどうだったのかと思って見てみると、やはりクロバネフユシャクだったから、例年どおりという感じか。
オス
OM-D E-M1mkIIに60mmマクロを着けて、絞りf/5.6で8枚フォーカスブラケット撮影(カメラ内深度合成あり)し、そのうちの最初の6枚を深度合成したもの(フォーカスステップ6)。フォーカスステップとはコマごとのピントの移動幅で、絞り値と被写体までの距離(被写界深度が決まる)から経験的に決めている。
Olympus Workspace には、フォーカスブラケット撮影したRAWあるいはJPEG画像を選択して深度合成してくれる機能があるので、カメラ内合成結果が気に入らないときには、OWSを使ってやり直すことができる。この画像の場合、カメラ内合成では伸ばした脚の先が切れていたので枚数を減らして再合成した。
こちらは別の個体を上から写したもので、f/2.8で写した8枚を深度合成したもの。薄暗い場所だったせいもあり、絞りf/8ではISO3200とかになってしまったので、開放絞りにして深度合成させた。明るい場所でシャッター速度を稼ぐためにISO感度を上げるのはいいのだけれど、暗い場所ではあまり良くない。
フォーカスステップ3で撮影した最初と最後の画像は以下のようになっていた。
絞り開放(f/2.8)で近接して撮影したときの被写界深度が2mm程度なので、1枚目だけでも翅にはピントが合う。8枚目は脚の先まで届かなかったが、
M.Zuiko Digital 60mm F2.8 マクロレンズの被写界深度表を見ると、極めて近接している状況では、f/2.8でもf/5.6でも被写界深度は2mm程度になっているから、絞るよりは開放でシャッター速度やISO感度を稼いだ方がよさそうである。
メス
オスと同じ場所にいたのでクロバネフユシャクのメスだろうと思うのだけど、近縁種かもしれない。これもフォーカスブラケット(深度合成あり)撮影。ブロック塀にとまっていたのでピントがあっている幅もよく分かる。
カメラ内深度合成ありでフォーカスブラケット撮影をする場合、いったんピントが手前に来てから奥に動く。この画像の場合、胴体にピントを置いてシャッターボタンを押したのに、けっこう手前までピントがあっている。
こちらは別の個体をフラッシュを使って写したもので、カメラ付属の小型フラッシュ(FL-LM3)をコマンダーとし、左手にもったやはり小型のFL-300Rを光らせて撮影した。これくらい離れて写すのならば、深度合成は不要だろう。
フラッシュを使ったフォーカスブラケット撮影もできるのだけど、どう考えても手持ちでは無理なので使ったことがない。
きょうのまとめ
マクロレンズで近接しつつ深い被写界深度が欲しいときや、明るさの条件によって絞りたくないような場合、手持ちでのフォーカスブラケット撮影はとても有効。
そういえば、3年前E-M1mkIIを使いはじめてすぐに OM-D E-M1 mkIIの深度合成 という話を書いて、要望的なことも書いていたのだけれど、その後のファームウェア更新によりずいぶん改善された。「カメラ内合成あり」ならファインダーにクロップ枠がでるようになったし、フォーカスブラケットの撮影速度も速くなったし、深度合成に要する時間も短くなったように感じる。大助かりである。あとは、ブラケットモード内でフォーカスステップの切り直しが簡単にできれば言うことなし。info押してダイヤル回すとかね。
マクロ撮影と深度合成専用に、ほぼ同じ機能・性能をもつOM-D E-M5 mkIII も導入しようか考え中。
東京地方の1月の初めは例年通り穏やかだったとはいえ、池は軽く結氷していた。そんな中でフラフラと蛾の探索や撮影をしていたおかげで、すっかり風邪を引いてしまいました。