5月中旬にカメラをかついで裏高尾町の木下沢林道を訪れた。中央線の快速電車で高尾まで行きそこからバスで15分ほどだから、気軽かつ安上がりに楽しめる場所の一つ。
まずはバス停から林道に向かう途中で見た風景など。
明治時代に架けられたという中央本線の第二浅川架道橋。県道と小仏川をまたいでおり、ここをくぐるときにバスはちょっと苦労する。いちおう、特急列車が通過中。
ちょうど石油輸送の貨物列車が来たので撮影。東京方向に向かう列車なので空荷なんだろうと思う。
カーブする線路の向こうには、中央道と圏央道が交わる八王子JCTが見える。数分間下り列車を待ってみたが何もこなかったので線路だけ。
風景的な撮影は、OM-D E-M5mkII + MZD12-40PROで、昆虫はすべてOM-D E-M1mkII + MZD300mmF4.0 + MC-14を使った。首から2セットぶら下げて林道を往復したが、それほど疲労はなかった。ただ、砂利道でコケると被害甚大なのでゆっくり進むことにした。
ウスバシロチョウ
シロチョウという名前だがアゲハチョウの仲間で半透明の翅と黄色い体毛が目立つ。
木下沢梅林近くにはウスバシロチョウがたくさん飛んでおり、ハルジオンなどでさかんに吸蜜していた。半透明の翅が背景の色で染まるのが美しく、ついつい余計に撮影。
オナガアゲハ
後翅が細長く尾状突起も長いのが特徴。写真はいずれもミツバウツギで吸蜜中のもので、 見上げて写しているからどれもけっこうな逆光になってシルエットばかり写してしまった。後翅が細長いせいか、欠損している個体も多かった。この蝶も、標高にかかわらずあちらこちらを飛んでいた。
サカハチチョウ
翅表に「八」を逆にしたような模様があるので、「逆八」でサカハチ。「ハ」の逆の「逆ハ」(サカハ)だと思い込んでいた。
道端で給水したりミツバウツギで吸蜜したり、葉陰で休憩したりとあちこちにいた。名前の由来は翅表の模様からきているようだが、翅裏の複雑な模様が美しい。翅裏を順光で近くから写したかったのだけど、思ってるようにはいかない。
イチモンジチョウ
林道の砂利の上のイチモンジチョウ。「逆ハ」模様はサカハチより明快。翅裏を見せてくれ、と思ってしばらく待ったものの動かないのであきらめた。
クモガタヒョウモン
新鮮なオスが日光浴していた。写真を見ればあきらかにクモガタヒョウモンのオスなのだけど、撮影したときはミドリヒョウモンかと思っていた。北を向いてとまっているせいもあり、天気が良すぎて翅裏の微妙な色合いを写せなかったのが残念。
ヒメキマダラセセリ
近場の公園でもよく見るキマダラセセリによく似たヒメキマダラセセリ。「ヒメ」がついているが大きさはあまり変わらないようだった。林道入り口から終点まであちらこちらで見た。
アオバセセリ
翅が青いセセリチョウ。
すべてミツバウツギで吸蜜中のもの。なかなか見つからないものの林道の上りと下りでそれぞれ数頭ずつ見つけたから、数はそれほど少なくない印象だった。小さな身体でオナガアゲハに体当たりして追い払ったり、アオバセセリ同士で絡み合ったりしていた。
ミヤマセセリ
シーズンぎりぎりで間に合ったミヤマセセリ。目の前にいきなり現れて日光浴を始めた。
1枚目はあわてていたので翅にピントがいってしまった。3枚目を見るといかにもセセリチョウ。
なるほど新潟で見たニホンセセリモドキによく似ている。
コチャバネセセリ
小さくてすばしこく、平場でも春から目立つコチャバネセセリ。山にもいました。
1枚目は翅の前縁に金色の鱗片が残っているのでコチャバネセセリだろう。近所でもよく見る蝶なのだけど、林道で見る個体の方が警戒心が強いのかすぐ飛び去ってしまう。
トラフシジミ
やはり林道に降りてきたトラフシジミ。砂利石の上で日光浴でもするのかと思っていたら、テクテク歩き始めたのでしばらく付き合って撮影。
春型は翅裏の模様が明確。だいたい同時期に東京の平場でも春型を目にするが6月になると夏型ばかりになる。夏型はこんな感じ。
ウラギンシジミ
翅の裏が白くて模様のないウラギンシジミだが、翅表はオスとメスで色が違う。
1枚目の茶色に白がメスで、茶色にオレンジがオス。成虫で越冬する蝶なので、おそらくいずれも越冬開けなのだろう。
スミナガシ
2頭のスミナガシが新鮮な(?)獣糞に来ていた。
薄暗い沢の上を黒っぽい蝶が飛んでいたので目で追いかけていたら沢の反対岸に着地したので撮影。明るさと焦点距離(換算840mm)の両面で限界で、1/20秒程度で撮影しているから被写体ブレは抑えることができない。それでもスミナガシに遭遇できたことでヨシとしたい。
アサギマダラ
高尾山周辺ではポピュラーなアサギマダラも林道をひらひら上ってきた。
林道を下っていると前から優雅に飛んできた。通り過ぎてから飛翔中の姿を撮影しようとするとすぐに降りてしまったので撮影。とまっているときはAFポイントをスモールの中央1点にするのだけど、飛んでいるところを撮るときは多点や全面が向いている。そのあたりはカスタム設定に仕込んであるので、モードダイヤルをクリクリしているうちシャッター切ってもしょうがないほど遠くまで去ってしまった。まあ、また見ることもできるでしょう。
他にはテングチョウやコミスジが多数。それにクロアゲハやカラスアゲハも飛んだり吸蜜したりしていた。
沢や林道の風景など
林道の入り口にある標識。日影沢のあたりは「鳥獣特別保護区」なのだけど、ここらは「鳥獣保護区」だった。できれば、「とっていいのは写真だけ」という看板も掲げてもらいたい。
そういえば、標識には木下沢林道と書いてあるものの「小下沢国有林」という看板もあったり小下沢林道と書いてある地図もあったり。読み方はいずれも「こげさわ」でいいと思うのだが。
林道を終点まで行き、そこから15mほどの崖(土手)に張り付きながら登ると北高尾の尾根道に達し関場峠の看板が立っていた。標高580mほどで眺望もないから看板以外に写すものもなし。
山歩きが目的ならば、林道入り口からここまで2時間はかからないと思うのだけど、いろいろと撮影しながら来たので4時間近くかかってしまった。景信山回りで降りようかなとも考えたが、帰りの時間も気になりだして林道を戻ることにした。
林道途中の景信山登山口付近。沢歩きに良さそうなところ。
そのちょっと上流の滝(のような)。ISO-LOWにして手持ちで約1秒間露光。
沢から黒っぽい鳥が飛びあがったと思ったら、カケスのようだった。撮影できた野鳥はこれだけ。アオゲラやキビタキの声は聞いたが写せなかった。
終点近くにきれいに生えていたオシダと思われるシダ植物。葉の長さは80cmくらいだった。
ちょっと長くなってきたので蛾やほかの昆虫は別稿に続きます。なお、写真は林道の行き帰りで写したものを時系列とは無関係に載せています。
蝶の写真の投稿
指定タグのリストを表示するショートコードを作ったのでテスト中。タグアーカイブは余計かもしれない。