木下沢林道やその周辺で写した昆虫の写真などの続き。前回は蝶を載せたので、今回はそれ以外のムシの写真を中心に。
穏やかで涼しそうな木下沢の流れ。
アサヒナカワトンボ
木下沢や日影沢ではきれいなカワトンボがたくさん飛んでいた。
赤みがかったものや透明なものなど翅の色はさまざまだが、どれも体色はメタリックグリーンで美しい。なかなか警戒心が強くて、こちらがゆっくり歩いている分には止まっていてくれるが、立ち止まってカメラを構えると飛び去ってしまうことが多くて困った。
以前、神奈川県でカワトンボを写した話でも書いたのだけど、ニホンカワトンボとアサヒナカワトンボを見た目で識別するのは不可能に近いようだ。DNA解析による分布についての論文( http://nh.kanagawa-museum.jp/files/data/pdf/bulletin/39/bull_39-3.pdf ) によると、ニホンカワトンボとされた標本の中には八王子市内で採取されたものもあるが、裏高尾町周辺のものはすべてアサヒナカワトンボに分類されている。
シロオビクロナミシャク
白い模様のある黒い蛾。
個体数も多く、明るいところにも出てくるので撮影できる機会が一番多かった。翅を広げている状態で、差し渡し3cm弱といった大きさ。
やはり木下沢で撮影したダイミョウセセリ。似ていると読んだり言われたりするとそうかなと思うが、こうやって並べてみるとぜんぜん似てない。
ついでに、名前の白と黒を入れ換えたクロオビシロナミシャクはこんな姿。
札幌市の円山公園で写したものだが、黒くもなけば白くもない印象。
ナシモンエダシャク
ミツバウツギで吸蜜中。
シロオビクロナミシャクよりはちょっと大きい。櫛状の触角が立派。「ナシモン」ってなんだろうか。「梨紋」と思って見てもそうは見えないのだけど。
フタテンシロカギバ
シャクガに見えるがカギバガの仲間のフタテンシロカギバ。前翅、後翅ともに左右に2つずつ斑点がある。木の葉の裏に張り付いていた。
緑陰など緑色の葉に囲まれた中でオートWBで写すと1枚目のように全体が黄色く仕上がってしまうことが多いが、実際の見た目は2枚目の方が近い。これはRAW現像時にホワイトバランスをグレー点指定で修正したもの。
イカリモンガ
ミツバウツギは蝶にも蛾にも人気がある。
ちょっと遠いがまるで蝶のように飛び、蝶のように吸蜜するイカリモンガ。
ムシはとまっていないが、林道の脇にはマルバウツギも生えていてちょうど花が咲いていた。
不思議とこちらの花で吸蜜している蝶や蛾は少なかったのだけど、ミツバウツギの人気の秘密はなんだろうか。
オオナミシャク
名前のわりにあまり大きくないオオナミシャク。
実際より翅の黄色みが強く写っているが、調整していくと胴体も白くなりそうなのでほぼカメラが決めた色合いのままにした。
キアミメナミシャクとビロードナミシャク
複雑な模様をもつ2種でいずれも初見だった。
こういう模様の素敵な蛾を写したいとずっと思っていた。いずれも歩いていると林道脇の草陰から飛び出してきて、ひらひら飛んで薄暗いところにとまってくれた。近寄ると飛んで逃げるので、適当なところから420mmで撮影。フラッシュ使えばよかった気もするが、けっこう印象も変わってしまうので暗い自然光で撮影。
トラガ
湧き水が流れる林道で堂々と吸水中のトラガ。
大きい蛾は写しやすいし、色も派手でよい。触角の先がちょっと膨らんでいるように見える。
モンシロツマキリエダシャク
地味なモンシロツマキリエダシャク。
ひらひら飛んで林道脇の岩にとまったところを撮影。
前翅の先端(褄)が切れているような形だからツマキリなのだろう。こういう姿の蛾は xxxツマキリエダシャク という名前が多い。モンシロチョウという名前のように、斑紋のある白いツマキリエダシャクということで、白い紋があるという意味ではないようだ。
クロムネアオハバチ
胸や腹が緑色のきれいな蜂がいたので撮影。
緑陰で写すと緑色というか黄色みが強くなってしまうが、胸も腹も脚も緑色で、胸部と頭部に黒い部分があった。
ゾウムシ
ゾウムシの仲間を3種。
キランソウを写そうと思って近づくと、ゾウムシにしては大きいオオゾウムシがいたのでセンターに置いて撮影。
粉をふいている様子がかつお節に似ているカツオゾウムシ。
分かりにくいが、黒いゾウムシが歩いていた。ヒゲ(触角)が長いことはわかるが、それ以上はよく見えないので同定できず。
その他の甲虫
他にもいろいろといた。林道とはいえ路側の植物を踏み潰すのもためらわれるからマクロレンズが効果的に使えるほどには近寄れない。長いレンズで目についた写しやすいものを撮影した。
オトシブミは姿形が面白くてかわいい。もっと大きく写したいが、これ以上焦点距離の長いレンズも持ってないし。
まずまずハムシらしいアトボシハムシ。2つの大きな黒点が特徴だろう。
メタリックグリーンのアオハムシダマシ。ハムシダマシは分類上ハムシというよりゴミムシダマシに近い種になっている。見た目に騙されるな、ということか。
ジョウカイボンの仲間。こちらは一見すると小型のカミキリムシなのだけど、触角が短かったり顔つきが違ったり?する。
景信山登山口近くの日本山岳会の碑とその前を飛ぶウスバシロチョウ。写ってないが、小下沢国有林と書いてある。
他にカメムシや蜂、カワゲラの仲間などを何種か撮影することができたし、植物も何枚も写した。現地に6時間ほどいたが、連写したものも含めて1500コマほど撮影し、その後の取捨選択や調整にも時間がかかってしまった。写真を見返しているうち、雨の季節の前にまた行きたくなってうずうずしてきた。