鮮やかな色を見せくれるヒオドシチョウを、だいたい同じ場所で、ちょうど一年間見ることができた。
羽化直後の成虫
羽化直後、5月下旬から6月初めにかけて見るヒオドシチョウの色はとても鮮やかで、まだ枯れ葉が目立つ林床の中で浮き上がって見えた。そこらの草花で吸蜜してくれればいいのだけど、樹液を好む蝶なので、クヌギやコナラの林に行かないと姿を見ることができない。
羽化後は姿を見ることができるのだけど、すぐに姿を消してしまって、気温の上がる季節もだが秋や冬も姿を見ることができなかった。いったいどこに隠れているのか。年に一度しか羽化しない蝶はいろいろといるにしても、成虫で冬を越すのが一番大変なような気もする。しかしながら、卵や蛹では環境の変化を受け止めるしかないが、成虫ならば逃げ出すこともできるのかもしれないし…とか素人なりに考えてしまう。
越冬開けの成虫と産卵
3月になって少しずつ気温が上がり始めると、隠れ家からでてきて枯れ葉の上なんかで体温を高めている姿を見ることができる。毎年3月から4月にはアカタテハやルリタテハといった越冬成虫とともに、稀に姿を見る。キタテハは数が多いせいかもっと早くから姿を見るのだが。
羽化後に比べると色褪せているのだけど、この季節に見る蝶としてはちょっと格別な感じ。
上の写真と同じ個体だが、近寄って撮影。翅も一部欠損しているが、6月から3月まで生き延びてきたのだから、ある程度はしょうがないだろう。
角度を変えて写そうとしたら飛んでしまい、高さ15mほどの木々を超えるほど高く飛び上がって行った。
たぶん、別の個体と思うのだけどまだ芽も出ていないように見えるエノキの枝の先にとまって産卵しているようだった。レンズが短くてよく写ってないのだけど、枝先に卵塊を残していたようだった。
幼虫
そろそろ時季だろうと思って、産卵していたエノキを見に行ってみると、新芽や葉はすっかり食い荒らされていた。
おそらく終齢の幼虫が数えきれないほど徘徊していて、蛹になる前の食欲のままにエノキの葉をむさぼっていた。枝をつかんだりしながらしばらく撮影していたが、あちこち痒くなった気がしてきて移動(気のせいですが)。
前蛹と蛹
すでに蛹になっているのもいるんだろうと思って、ちょっと移動して探してみると、前蛹になっているものも発見した。今まで見た限りでは、近い場所でも羽化する日付は2週間程度違っているようだ。
上の前蛹を1週間後に見に行くと、立派な蛹になっていたので写真を追加した。幼虫の背中のトゲトゲがそのまま蛹のトゲトゲになっていて、三対の脚は外からは分からない。
幼虫や前蛹を見つけた日に蛹も発見。まさか去年からぶら下がっているわけではないだろうから、あと2週間もすれば羽化してくるんだろう。
上の写真にも写っているが、ちょうどキアシドクガの蛹化が始まった時期でもあり、木から幼虫がどんどん降りてきていて、カメラバッグや帽子の上に毛虫がついていた。キアシドクガの幼虫と蛹の写真を載せておきます。
蛹化したばかりなので、撮影しているとビクビクッと動いたりしてゾクッとした。
この月末にはヒオドシチョウの成虫をまた撮影できると思うととても楽しみになってくる。今年はうまく写せるといいのだけど。
以前に写したヒオドシチョウの蛹化や羽化の写真はこちら。
また、今回載せた2019年の幼虫や蛹が成虫になったあとの話しも追加しました。