2018年1月31日の皆既月食

1月31日の夜は、1月二度目の満月でブルームーン、かつ、月が地球に近いのでいつもより大きく見えるスーパームーン(1月1日の方が大きかった?)、その上、今年最初の皆既月食で赤く見えるからブラッドムーンという、三拍子そろった月が見えた。

前回の2015年4月4日の月食は東京でも見えるはずだったのだけど、あいにくの天気で撮影できなかった。今回も曇りから雪とか予報されていて、夕方は薄雲に覆われていたから落胆して何の準備もしていなかったのだけど、19時頃からよく晴れてくれた。あわててOM-D E-M1 mkIIに古レンズのReflex Nikkor 500mm/F8 を着け、ベランダに三脚を設置してポラリエを載せ、ポーラーメーターを使って方位と角度を決めた。このあたりは以前ブログに書いたのと同じ手順になる(E-M10での撮影と、E-M5mkIIでの撮影準備を参照)。そして、一式をポラリエに載せたまま月食が始まるまでの1時間ほど放置して外気温にならしておいた。

とりあえず、欠け始め、皆既の開始、ほぼ最大、終了といった月食らしい写真を数枚。

月食
月食,2018年1月31日20時43分,東京都
月食
月食,2018年1月31日21時42分,東京都
月食
月食,2018年1月31日21時23分,東京都
月食
月食,2018年1月31日21時42分,東京都
月食
月食,2018年1月31日21時49分,東京都
月食
月食,2018年1月31日22時20分,東京都
月食
月食,2018年1月31日23時2分,東京都
月食
月食,2018年1月31日23時17分,東京都
月食
月食,2018年1月31日23時36分,東京都

これらの写真は、OM-Dに記録された5184×3888ピクセルの画像から、月がほぼ中央で同じ位置になるように4000×3000で切り出したものなので、500mmレンズで捉えた月よりも大きくなっている。皆既中に月の左側に見える星の位置がずれているから、切り出していることが明らかに分かる。また、ブラッドムーンらしく見えるよう赤色を強調している。撮影パラメータはISO400固定で、1/320秒~3.2秒まで(レンズ絞りは変更不能でF8固定)。

後の方に載せた動画でも分かるが、23時40分過ぎころから雲が広がりだしてしまったので、最後の方は撮影を打ち切った。

ポータブル赤道儀のポラリエに載せたのは、長時間露光でもブレないようにするため、ということと、気温3℃以下の外にずっといるのはシンドイので、カメラのインターバル撮影機能を仕掛けてほったらかしにしたかったから。30秒ごとに約320コマほど撮影した。月の動き(実際は地球の自転と月の公転)にあわせて自動追尾しているのに月の位置がずれてしまうのは、赤道儀の軸や角度が正しくないから。南向きのベランダではこれが一番の難点だろう。

前回撮影との比較

前回は、2014年10月8日に皆既月食を撮影していたので、その画像と今回のものを。

月食
月食,2014年10月8日19時35分,東京都
月食
月食,2018年1月31日22時57分,東京都

レンズは同じReflex Nikkor 500mmでいずれもクロップ無し。スーパームーンだけあって、今回の方がちょっと大きいような。前回はOM-D E-M1無印を使っていてISO200で4秒間の露光。前回の方がピント合わせやポラリエの極出しがうまくいったのか、よりきれいに写っていると思う。

タイムラプス動画

欠け始め(20時43分)から皆既後に雲に覆われるまで( 23時45分)までの各コマを集めて、20秒間のタイムラプス動画にしてみた。

4KにするほどでもないのでFHD解像度とした(1920×1080)。ポータブル赤道儀のポラリエを使って自動追尾させていたが、南向きのベランダなので北極星が見えず、だんだんと月が動いてしまう。それが気になって、たまにレンズを向け直したのだけど、そのたびごとに三脚や赤道儀の向きがさらに動いてしまって、ずれ方が大きくなってしまったのが残念。何か動画編集の技術によって、常に中央部にあるようにしたり、明るさをうまく調整することも可能なのかもしれないが。まあ、たまにしかやらないのでこんなもんかな。

失敗の記録(備忘録)

インターバル撮影は外部レリーズで

夜の天体を写すのは久しぶりだったので、特に考えずにOM-D自体のもつインターバル撮影機能を使ってしまった。残念なことに、インターバル撮影中は露出補正もできないしフォーカスポイントを変更することもできない。星や星座を写すのならこれでいいのだけど、月食の場合は具合が悪かった。タイマー機能付きのリモートレリーズを使うべきだった。

測光エリア

今回は絞り優先AE(Aモード)を使って、月が欠けたときも適正な露出を維持してくれることを期待していた。ただ、スポット測光の領域をフォーカスポイントに同調させ忘れてしまった。結局、たまにインターバル撮影を中断して露出補正し直すハメになった。
そういえば、マニュアル露出(Mモード)を使う場合、OM-Dの初期設定ではLVブーストがオンになっている。そのためピント合わせ中はEVFに明るく見えているものが、写してみると真っ暗だったりして焦ることがある。Mモードを使う際には気を付けておくのがいいだろう。

電池残量表示

わずか200枚ほど写したところで電池マークが赤く点滅しはじめてしまい、途中で電池を交換した。これも赤道儀の方位がずれてしまった一因だろう(軟弱な三脚と雲台のせいでもあるが)。
E-M1 mkIIになって電池残量が数値表示されるようになったのだけど、1年使っても電池マークが点滅するタイミングがよくわからない。点滅し始めた後に電源スイッチを入れ直すと、今度は点滅無しで45%とか27%とか、まだまだ使える残量が表示されたりするのである。普段、連写を多用するときは電池1本で800枚程度は軽く撮れるから電池の点滅を気にしないようにしているが、今回は自動撮影なので途中で止まってしまうと悲しいので交換してしまった。外気温による活性の低下(?)のせいかもしれないが、このあたりはキッチリしていて欲しいところ。

ピクセルマッピング

皆既中の画像を等倍で見てみると、色鮮やかな輝点ノイズ(ホットピクセル?)が数多く見られた。オリンパスビューワー3のRAW現像機能にある「偽色抑制/孤立点除去」によってほぼ消すことができるのだが、わずか3,4秒程度の露光しかしていないのでちょっとショックを受けた。動画の方はカメラが作ったJPEGから作っているので、よく見ると赤青緑の鮮やかな輝点が分かるかもしれない。
買ってから一度もピクセルマッピングしていなかったのであわてて実施した(12月にやった定期メンテナンスで実施されているのかもしれないが)。今後夜空を写すようなときは事前にピクセルマッピングすることにする。もっとも、皆既中以外には目立つ輝点はないから、低照度の赤いものを写すと顕著に現れるものなのかも。その後、真っ黒な画像を(レンズキャップを着けて)撮影してみると、輝点ノイズは皆無ではないが、ほとんど気にならない程度になっている。

次回

東京で見える次の皆既月食は、Wikipediaによれば東京オリンピックが思い出になっているだろう2021年5月26日らしい。その頃にはたぶん別のカメラを使っていて、月の像自体を認識して追尾させるとか、8K録画が可能なビデオ機器を使うとかいった撮り方になるのだろうか。いずれにしろ天気次第ですね。