チャバネフユエダシャクとウスバフユシャク

12月の東京は暖かったり、たまにちょっと涼しかったりする日が続いている。クヌギの森をヒラヒラ飛んでいたクロスジフユエダシャクの姿も、だいたい10日頃からは見なくなった(その後、♀の姿は確認できたが)。
東京地方でも続々とフユシャク蛾が現れてきているが、ちょうど今頃はチャバネフユエダシャクとクロオビフユナミシャクの2種が盛期で、そのほかにウスバフユシャクやシロフフユエダシャクなんかも姿を見せ始めた。今回はチャバネフユエダシャクの♂と♀。

チャバネフユエダシャク ♂
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

典型的な?チャバネフユエダシャクの♂。しょうしょう赤っぽい褐色で2つの明確な横線があり、その中間あたりにわずかに斑紋のようなものが見える。
なかなか出てこないなと思っていたのだけど、15日を過ぎたあたりからあちらこちらで目にするようになった。

チャバネフユエダシャク♂
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

こちらは、色の濃い部分が太くなっており、全体に小さな斑点がある。翅の大きさは、クロスジフユエダシャクよりも一回りほど大きくて、左右の幅が25mm程度。

チャバネフユエダシャク ♂
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

電灯の基部に降りていた。白い後翅が見えており、ほんのりと横線が走っている。

♂の方は、まあ地味目な蛾の一種なのだけど、♀はちょっと変わっていて飛ぶための翅がない(翅に相当する器官はあるが飛べるほどではない)。微小な翅しかないことが、フユシャク蛾の♀全般に当てはまる特徴なので、できれば♂と♀をそろえて撮影しておきたい。しかしながら、例えば人工的な灯りの近くまで飛べる♂はそういった場所をたどれば見つけられるものの、歩くことしかできない♀の場合そうはいかず、うつむき加減にゆっくり歩いて探すしかない。

チャバネフユエダシャク ♀
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

クヌギの木の根元近くに♀がいた。鳥の糞に似せた体色や体型なのだと思うのだけど、公園の中でこういうのだけはよく見えてしまう。しょうしょう離れたところから気がついた。このまま夕暮を待つのだと思うが、鳥に見つからないといいですね。

チャバネフユエダシャク ♀
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

上の個体により接近。ホルスタイン的なブチ模様で、けっこう毛並がいいのである。
いちおう等倍撮影も試してみたが、センサー幅(17mm)でギリギリ入るくらいの体長である上に、被写界深度に対して厚みがありすぎてマトモに写らなかった。

チャバネフユエダシャク ♀
チャバネフユエダシャク,2015年12月中旬,東京都

ブロック塀を上っているのもいた。この個体の近所に♂もいたのだけど、朝から交尾はしないようである。夕方同じ場所に行けば、そういうシーンも撮影できるとは思うが、それはまた次の機会に。

ウスバフユシャク
ウスバフユシャク,2015年12月中旬,東京都

ウスバフユシャクもぼちぼちと現れ始めていた。今年の冬が暖かく、年末が近づいているという実感が自分自身に乏しいせいか、「もう出てきたの?」とか感じた。
ウスバフユシャクの♀や交尾は今年の1月に結構撮影することができたのだけど、この冬もまた同じように、夕暮時の木陰や草陰でフラッシュを焚く怪しい人になる予定。

ウスバフユシャク
ウスバフユシャク,2015年12月中旬,東京都

近所にもう一ついた。翅のたたみ方というか、閉じるときに左右どちらを上にするか、というのは個体ごとに趣味や好みがあるのだろうか。あるいは風向きに応じて翅を閉じ直しているのか。朝方見ることが多いので、なかなか動かしているのを見る機会がなくて。