ウラナミシジミ

ウラナミシジミは秋になると東京にやってくる南方系の蝶。東海地方や西日本で羽化した成虫が、北上してきて繁殖し、おそらく東京周辺でも羽化して姿を現す。しかしながら、冬には寒さで全滅してしまうらしい。
ウラナミシジミシオンの花で吸蜜中。10月になると吸蜜できる花も少なくなってくるせいか、植物園のシオンは蝶に大人気なのである。
ウラナミシジミは、相当な暖地では成虫や幼虫のまま冬のあいだも活動しているらしい。東京も暖かくなってきて、いろいろな蝶が冬を越せるようになったと言われているが、この蝶については例外のようである。最低気温や平均気温がある程度まで上昇すると、死滅せずに冬を越すのかもしれないが、そういう気候はあまり想像したくない。

ウラナミシジミもうちょっと近くから。ウラナミアカシジミに似ているような気もするが、あちらはミドリシジミ亜科でウラナミシジミはヒメシジミ亜科に分類されており、系統的にも近くない。また、あちらは翅が長くて大きく見える。

ウラナミシジミこちらは、ヤブツルアズキ(あるいはノアズキ)の花にとまっていた♀の個体。
ウラナミシジミは、植物防疫法で規定される「検疫有害動物」の一つで、インゲンマメやアズキ、エンドウマメ、ソラマメといった馴染みの深い食材の害虫として有名らしい。もしも東京以北でも冬を越せるようになって、成虫が春からばんばん出現するようになると、かなりまずいことになる。野原や湿地の豆類を食べてくれる分には、いいんですが。