4月に写した蛾の写真から目ぼしいものを集めた。
当初は2015年の4月に撮影した蛾の写真を載せていたが、2016年以降に写したものも追加した。そのため、すでにほかの投稿で使った写真も含まれていることがある。
4月になって暖かくなり、草花やら虫やら鳥やら大量に写真を撮ってしまってなかなか整理が追い付かない。これからは朝や昼の蝶が多くなってくると思うのだけど、時季が過ぎないうちに夜の蝶(蛾)も載せておきます。
シャクガ科
すっきりした印象のハスオビエダシャク。「斜(はす)に構える」という言葉があるように、斜めに帯が入っているからハスオビ。帯の上にわずかに斑紋がある。
自販機の透明なアクリル板の上に止まっていたので写真もすっきりした印象になった。
頭部胸部はフサフサである。触角が櫛状なので♂なのだろう。
落ち葉に紛れているが、ツマキリエダシャクのオスと推定。こういうところにいる枯葉色の蛾をいきなり見つけるのはまず無理。ひらひら飛んで行く先を見ていたので撮影できた。
名前に「フユ」は入らないがフユシャク蛾の一種のシロトゲエダシャク。桜の木の幹にとまっていた。
翅を開いてとまっている状態で左右の翅頂間が40mm程度と大型で写しやすくて助かる。
ナミガタエダシャクと同じ建物にとまっていたオレクギエダシャク。ナミガタより一回り小さめで35mmほどだった。
よく似た蛾にニセオレクギエダシャクというのもいてとても迷う。前翅、後翅の白いギザギザが明瞭なことと、その外側(外縁部)が一様に黒っぽいことなどからオレクギエダシャクだろうと推定した。ただ、前翅中央付近がちょっと茶色っぽいからニセオレクギなのかも。
歯型のような模様をもつ、ちょっと大きめのナミシャクということで、大歯型並尺蛾。この状態で横幅が30mmといったところだった。
焦げ茶色というかチョコレート色が主体で、白く曲がった線に縁どられた金色っぽい帯が印象的。
公園の入り口の石積みの壁に、尾を高く上げてへばりついていた。
桜の季節になるとでてくるウスベニスジナミシャク。
3月後半にも登場したフトジマナミシャクかな?というナミシャク蛾。初夏に現れる蛾のはずなので、ちょっと時季が合わないのが気になる。
林床にいたのを見つけて撮影。フトジマナミシャクと同じ属に分類されている。
札幌市の円山公園で見つけたクロオビシロナミシャク。ちょうど桜が咲こうという時季だったので、東京で見つけるとすれば3月下旬だろうか。
ナミシャク亜科のハイイロコバネナミシャクと推定。
札幌に行くにあたってレンズを3本(野鳥用に75-300mm、観光・風景用に12-100PRO、マクロ用に60mm)持って行ったのだけど、マクロレンズを使ったのは円山公園で見つけた3頭の蛾を撮るときだけだった。MZD12-100PROのテレ端の最大撮影倍率がせめて0.4倍くらいあれば2本で済んだのだけど。ワイド端では0.3倍あるが、近すぎて対象がレンズの陰になっちゃうし。
アオシャク亜科のコヨツメアオシャク。このときはじめて見て、それ以来見ていない。
これら4枚はいずれも 2015年の4月上旬に見たナミシャク蛾で、カバナミシャクの仲間だろう。いずれも模様が微妙に違って見えるが、一対の黒い斑点と帯状の白っぽい部分の位置関係がほぼ共通している。大きさはほぼ同じで翅を開いた状態で20mm程度。最初の3種はソトカバナミシャクのような気がするが、果たしてどうだろう。
この日は一斉に羽化した日だったのか、この地味な蛾を10頭近く撮影した。絵柄は地味だし撮影技術は進歩しないし天気もパッとしないしで、なんとなくウンザリした。その上、皆既月食が見えなかった日でもあった。
ヤガ科
ちょっと前にシロヘリキリガと思しき蛾を見たのと同じケヤキの足元に、ヨスジノコメキリガと思われる蛾がいたので撮影。朝の出勤途中だった。
4月下旬に札幌に出かけたとき円山公園で見つけた。ヨトウガ亜科のナカグロホソキリガと推定。越冬するキリガの一種ということだが、比較的きれいな個体だった。
ヨトウガ亜科のヨトウガと推定したがスジキリヨトウかもしれない。ヨトウガの幼虫は畑の害虫として、スジキリヨトウの幼虫はゴルフ場の芝をダメにすることでおのおの有名。ネット検索してみると農薬の宣伝がたくさんでてくる。
昼間から花の蜜を求めて飛び回るツメクサガ(ヤガ科タバコガ亜科)。ちょっと離れてみると、セセリチョウの仲間にしか見えない。
ヒゲナガガ科
オスのヒゲ(触角)が長いのが特徴のヒゲナガガは4月の上旬から目にするようになった。
緑というより金色に輝くメタリックな翅をまとったミドリヒゲナガのオス。この状態で頭から翅の先まで10mm弱といった大きさだったと思う。
こちらはメスで、ヒゲの根元が太く長さも短い。オスとメスを比べてみると、頭部を覆う毛の色が違う。オスは黒いがメスはオレンジ色、あるいは茶髪である。
翅が黒くヒゲが長いのでクロハネシロヒゲナガ。もっとも光の当たり方や見る角度によって翅の色は美しく変化する。飛んでいるときは、逆Uの字に曲がった白いヒゲだけが上下に振動しながらゆっくり動いていくように見える。
飛翔中を撮影しようとしたが、なぜか白いヒゲにピントがあってしまった。残念ながらシャッター速度不足。
やはりメスのヒゲは短くて根元が太い。太くなっている部分は細かい毛で覆われておりオスのフェロモンを感じる感覚器官になっているとか。2枚目は産卵行動中に見える。
2019年になってようやく遭遇した交尾中のクロハネシロヒゲナガ。4月中旬から5月にかけてギンイチモンジセセリの探索に出かける場所で数多く発生している。
ホソオビヒゲナガは名前の通り、前翅に細い帯が一本入っている。特徴はそのヒゲの長さで、あまり近くから写しているわけでもないのに、ヒゲの先端まで収めることができなかった。この翌日(もう5月)になんとか写せたが、4月に写したときはこんな感じになってしまった。
その他
4月のはじめ、春のフユシャクを探しにいったら毛むくじゃらの蛾がいたので撮影。後翅がはみ出していたり腹が大きくて長いことなどからシャチホコガ科の一種だろうとあたりをつけた。なんとなく、前翅の付け根が緑っぽく見えたのでアオシャチホコと推定したが果たしてどうなのか。
ツトガ科ノメイガ亜科に分類されているマエアカスカシノメイガ。前縁が赤くて翅が透けているノメイガ。3月の話にもでてきたが、ちょうどソメイヨシノの頃からよく目にする蛾。
比較的よく目にするトリバガ科のブドウトリバと思います。フラッシュを使っているので色が印象と違うものの、図鑑を探す限り他に適切な種が見当たらなかった。
ドクガ科のゴマフリドクガ。前翅全体にゴマをふったような黒点があり、脚はドクガらしく毛に覆われていた。外縁部がちょっと丸まっているので、羽化してからあまり時間が経っていなかったのかもしれない。
新潟県のカタクリ山で見たニホンセセリモドキ。もうちょっと大きく写したかった。
ミヤマセセリがセセリモドキに似たのか、セセリモドキがミヤマセセリに似たのか。いずれにしろ、どちらかが毒素を含んでいるとしたら、捕食する側はよく似たのを遠慮するだろうから、結果としてどちらも生き残ってきたのだろう。
おまけで見た目がよく似ているミヤマセセリ。
4月のまとめ
5年間の記録をたどってみると、4月は思ったより蛾を写してなくて意外な印象。ヒゲナガガの写真は多いのだが。実のところ、シャクトリムシなどの幼虫はけっこう撮影しているのだけど、なかなか名前が分からない。飼育するほどでもないし。