この季節、今年も白い蛾(キアシドクガ)が大量に発生して森の中や周囲をヒラヒラ飛んでいる。狭山の森に作られたプロ野球西武球団の本拠地メットライフドームからの野球中継でも、ドーム内で頼りなげに飛んでる姿が見えた。
今までも小出しにしてきたが、ほかのムシや鳥のついでに写したものをまとめた。
羽化後間もないメス。翅が美しい。
幼虫
終齢幼虫。黒地に白や黄のしま模様がある毛虫。
写真上側が頭。毒針もなく毒はないことになっているものの、指や手のひらに載せる勇気はない。
ミズキやエゴノキの葉が主食のようだけど、蛹化が始まる5月上旬ころには、サクラやエノキなど手当たり次第に食べていたような印象。そういった木の下にくると、毛虫がボタボタ落ちてきて知らぬ間に帽子の上やカメラバッグについていたりする。シャクトリムシも降りてくるから、この季節は首筋に手ぬぐいを巻くようにしている。
蛹化が始まったところだろうか。背の皮が割れて蛹の皮質が見えていた。
色のきれいな蛹。毛虫のときの抜け殻をぶら下げていた。前にも書いたがファインダー越しに見ているとビクビク動いていた。
羽化直後
羽化した成虫は口吻が機能しない(退化している)ので、吸蜜したり吸水したりできないから数日間しか生きられないとのこと。
翅裏の縁や翅頂にかけてちょっと黒っぽくなっているのが分かる。
wikipedia によると雌雄の識別は脚の色でできるらしい。名前のとおり前脚が黄色(キアシ)なのは共通だが、メスは後ろ側の二対の脚の先が黄色くオスは黄色くない(白または黒)とのこと。なので上の写真の1枚目がオス、2枚目がメスなのだろう。そして最初に載せたものもメスと思われる。
数多く飛んでいる姿も何度か写そうとしたのだけど、超望遠だと数頭しか写らないし、広角で撮るとなんだか分からないしで今年もパッとしたのが撮れなかった。
交尾
成虫期の短い時間の中で交尾し、メスは産卵しなければならないから、あちらこちらで交尾している姿も見られる。
1枚目は残念ながら前脚しか分からないが、上になって翅をかぶせている小さい方がオスではないかな。2枚目は脚がはっきり見えているから、下にぶら下がっている方がオスだろう。
産卵と卵
ミズキの幹で産卵していた。
メスがおなじところを行ったり来たりしていた。この個体が産卵した場所ではないけれど、ミズキの幹を見ると卵塊があった。たぶんキアシドクガの卵なのだと思うが違っているかも。
卵塊がいくつか見えるが、下の方の黒いのには小さな穴が開いているから、すでに孵化済のものだろう。今年の蛾がでてきた卵なのかもしれない。
中央の色の薄いのはハチの巣のように表面が塗り固められており、おそらくつい最近産み付けられたものだろう。上の方にも穴のない卵塊が見えるが色がちょっと違う。産卵後、時間が経つと色が濃くなってくるものなのかもしれない。
終末
交尾を終えると体力を使い果たすのか林床に落下し、しばらくは翅をバタバタやっていた。当然、メスは産卵した後だろうけど。
あるいはムシヒキアブや蜘蛛に捕食されて一生を終えていた。
キアシドクガの毛虫や成虫は毎年大量に発生しているが、特に毒のある蛾でもないし5月から6月にかけての2,3週間程度の現象なので、これも一つの風物詩としてそっと見守るのがいいと思っている。