4月の終わりに用事と遊びを兼ねて札幌に行った。ホテルは市内の中心部だったので、地下鉄やバスを利用すれば西岡公園や円山公園まですぐ行けるから、いちおう野鳥も撮れるレンズとして久々にMZD75-300IIを持って行った。
天気が悪くなるのは分かっていたから、本来なら雨でも大丈夫なMZD300mm F4.0の方が向いているのだけど、天気予報で雪になるとか言っていたこともあり、最悪望遠の出番はないかもしれないと思って軽いレンズを用意して行った。
西岡公園
市内中心部から地下鉄に10分ほど乗って澄川駅に行き、そこからバスに乗って、やはり10分間程度で小雨模様の西岡公園に到着。気温は5℃前後といったところだった。
かつて水源池だった池に、国の有形文化財に指定されている取水塔が残っている。晴天ならほんとに気持ちがいい景色なんだろうけど。
池の周辺の林の中や上流部の湿原を歩く遊歩道が整備されているので時計回りに一周した。
湿原の上には木道があって周囲には終わりかけのミズバショウがたくさん咲いていた。たまに木道が傾いてるところもあったりして、この日に飛行機に乗る予定だったこともあって滑り落ちないよう慎重に歩いた。
池の周りの林の中から。一回りする間、ほとんど誰にもあわず野鳥の声を聴くばかり。
ルリビタキ
公園全域にルリビタキが生息しているのか、あちらこちらで遭遇した。東京では寒い時季に公園でたまに見かける程度なのだけど、ここではありふれた野鳥なのかもしれない。
ウグイス
水辺や木立の中でちょろちょろしていた。木立の中ではデカい声でさえずっていた。
ヤマゲラ
トントトトンと音がするので見上げてみると、ヤマゲラがおそらく巣穴を掘っていた。
北海道では、アオゲラのことをヤマゲラと呼ぶのだと思っていたのだけど、東京にいるアオゲラとは異なる部分が多い。東京でよく見るアオゲラはこんな姿をしている。
大きさはあまり違わないが、以下のような相違点が見て取れる。
- ヤマゲラの腹には模様がないか目立たない。アオゲラはチェック模様。
- くちばしの端から連なる部分が、アオゲラは赤いがヤマゲラは黒いだけ。
- 後頭部が、ヤマゲラは灰色だがアオゲラは黒い(このアオゲラでは見えてないけれど)。
天気がいい日だったらもうちょっと特徴が出たとは思うんですが、これは北海道ならではのヤマゲラなのだろう。
エゾアカゲラ
木道を歩いていると今度はアカゲラがいた。倒木でエサになる昆虫でも探していたんだろうか。
こちらはあえて「エゾ」をつけることもないのだろうけれど、東京で見るアカゲラと比べると背中というか肩の白い斑が大きく三角形に見える。
こちらは前に都内の公園で写したもので、白い斑の部分は三角というより棒状だった。東京のものは目の後ろが褐色になっているといった、季節や個体差によるかもしれない違いも見える。
アオジ
都内でも冬場にたくさん見るアオジもいた。
冬羽のせいか太っているように見える(羽が膨らんで見える)個体が多かった。アオジに似た別の野鳥も期待したが、巡り合わず。
アオサギ
やはり東京でもよく見る野鳥のアオサギが、池の上をギャーとかグワーとか叫びながら飛んでいた。写真としてはサマになりませんが。今回見た中では一番大きな鳥。
ハシブトガラ
ハシブトガラはシジュウカラによく似た鳥だが、くちばしの下の黒いネクタイ状の部分が小さくちょび髭風で、黒い帽子をちょこっとかぶったような姿。
あとで出てくるコガラとよく似ているが、尾羽の先が角型をしているということで、羽繕い中の尾羽がよく見える写真を載せた。コガラよりくちばしが太いということなのだけど、並んでくれないと確認できない。
ヒガラ
こちらもシジュウカラによく似ているが小さい。wikipediaによれば、日本最小のカラ類とのこと。
シジュウカラとはくちばしの下の黒いネクタイ状の部分の形が違っていて、ヒガラはネクタイというより前掛け状。白い翼帯もかろうじて2本見える。頭頂部の羽毛が逆立って見えるがこれは個体差かもしれない。
ゴジュウカラとシマエナガ
雨予報の中を出かけたので、当初は東京にはいないゴジュウカラくらいは写せるといいなと思っていたのだけど、小雨の中で北国の野鳥をいろいろと見ることができた。残念ながらゴジュウカラとシマエナガは遠くからチラ見した程度でシャッターチャンスもなくてひどい出来なのだけど、一応載せておきます。
大した雨にもならず雪も降らなかったので、ちゃんとMZD300mm F4.0 + MC-14を持参してればなあと思うことしきりだった。
西岡公園では、春の花も咲き始めていた。
エゾエンゴサク
エゾエンゴサクも咲いていた。前日に札幌市内の別の場所でも開花しているのを見ていたので、西岡公園にもあるだろうと思って探したのだけどなかなか見つからず、公園事務所で教えてもらってたどり着いた。
東京で見るエンゴサクと花や葉の形状、そして全体の雰囲気は似ているのだけど、なんといっても花が青いのか目をひくところ。
ネコノメソウ
ネコノメソウは種類が多くて、こんな具合に咲き始めを遠くから見たものを同定するのは厄介なのだけど、おそらくオリジナルのネコノメソウと思います。湿地の縁あたりにこれから蔓延ってやろうという感じだった。
こちらは新潟県のカタクリ山近辺で写したホクリクネコノメソウ。
ついでに、東京で見たヤマネコノメソウ。いずれも、どこがネコの目なんだかよく分からない植物。
ナニワズ
ネコノメソウと同じく黄色い花だが、ナニワズはジンチョウゲ属の樹木で北国版のオニシバリといったところ。
3月の半ばに東京で写した近縁種のオニシバリも載せておきます。葉や花の形状がよく似ている。
エンレイソウ
エンレイソウも花を開き始めていた。新潟の山で見たものより葉が小さいことが印象に残ったのだけど、雪解けからの経過時間によるものなのかもしれない。
円山公園
まだ飛行機まで時間があったので地下鉄を乗り継ぎ、札幌市民がジンギスカン鍋を囲んで花見の最中の円山公園に向かった。
北海道神宮の参道では、赤みの強い桜が咲き始めていたがこれはエゾヤマザクラなんだろうか。神宮と円山公園のあいだには花見客のための露店というか出店も数多くでていたが、オープンエアでカラオケやってたのはちょっと驚いた。
自然歩道のあたりまで来ると静かなもので、円山川沿いにしばらく歩いてみた。
オシドリのご夫婦が休憩中。繁殖中なのだろうか。
コガラ
遠くてチラ見程度になってしまったが、おそらくコガラだろうと思って撮影。
全体的な見かけは先ほどのハシブトガラによく似ているが、尾羽の先が丸い(と思う)のでコガラと判断した。
これって、野鳥以外を写すためのレンズとして持参していたMZD12-100PROの100mm端で写している。雨降ってるときにレンズ交換すると、イメージセンサーに降りた水滴がシミになったりするから致し方なのだけど。300mmならもうちょっと明快な写真になったと思う。
シジュウカラ
シジュウカラは日本全国同じ姿のようである。
キクイタダキ
頭頂部が黄色いキクイタダキ。「木杭叩き」ではなく「菊戴き」です。
この鳥も小さくて10cmくらいしかない。曇りで色がさえないこともあり遠くからはシジュウカラの仲間に見えた。東京では見たことがなかったのでとてもラッキーな気分だった。
その他
ほかにもツグミやシロハラ、カワラヒワはけっこう見た。また、花見客のジンギスカンの肉を奪うカラスも見ることができた。
宿泊したホテルが中心部にあったからかもしれないが、ちょっと地下鉄に乗るだけで、野鳥や植物の豊かな自然公園に行けるのはうらやましい限り。札幌はいいところです。