ヒオドシチョウの蛹化と羽化

ヒオドシチョウ (緋縅蝶, Nymphalis xanthomelas )は、この時季に羽化し1か月ほど活発な姿を見せる。ところが夏~冬のあいだはどこかに隠れているのか、ほとんど姿を見せてくれない。やがて翌年の早春に繁殖のために活動を再開するが、4月頃には一生を終えてしまう。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ, 2015/5/24,東京都

東京では先週あたりからポツポツと羽化が始まり、たまーに成虫を見ることができるようになった。動きが速いので、なかなかじっくり撮影できないのだけど。

ヒオドシチョウ 羽化

今年は蛹を5つほど見つけることができたので、通勤時には毎朝チェックしていた。運のいいことに、そのうちの1つだけ羽化するところを見ることができた。かなり毛深い。
もっとも、翅を拡げてくれないとタダの地味な黒い蝶に見えるし、薄暗いところなので、知らなければ見逃してしまったと思う。
ヒオドシチョウ 蛹化幼虫が蛹化を始めたところ。だいたい羽化の2週間前になる。
ヒオドシチョウの成虫はあまり姿を見ないのだけど、終齢幼虫が蛹化しようとしていたり、食樹以外の植物を這っていたりする姿はゴールデンウィーク明けからよく目にした。成虫になるのは年に一度だけなので、数で勝負ということなのか。
ヒオドシチョウ 蛹蛹化をはじめた翌日には蛹の姿に変身してぶら下がっている。この蛹は、上に載せた蛹化中のものとは別の場所で見たものなのだけど、残念なことに見つけた翌日には無くなっていた。鳥がくわえて行ったのか、ヒトが持って帰ったのか。日々観察している側からすると残念な話。
また、蛹になって3週間経っても羽化しないものも多い。よく見てみると、蛹の一部に寄生虫が侵入したと思しき孔があいていたりする。

ヒオドシチョウクヌギの林で。あまり樹液の出てる木もなく、高いところにばかりとまるのでまいりましたが、「緋縅」という名前のとおり、たまに翅を開くと鮮やかな色を見せてくれていた。