4月半ばに訪れたカタクリ山やその近辺で見た春の花など。カタクリの山とギフチョウやムシの続きになります。
カタクリ
前の投稿でも書いたように、カタクリの花は無数に咲いていた。数日前の雨のせいか、しょうしょう花びら(厳密には花被と書くべきか)が痛んでいるものもあった。
カタクリの若葉(?)というかまだ花をつける前の段階で、種子から発芽してから2~8年間は、春に1枚だけこの写真のような葉が生えてくるらしい。こういった葉も初夏までには地上から姿を消してしまうとのこと。前の話に書いたトゲアリ君が種子を運び、運よく発芽して8年後にようやくカタクリの花が姿を現すことになるようだ。一朝一夕にはカタクリ山にはなってくれない。
ナガハシスミレ
カタクリ山に上る山道にもたくさん咲いていたナガハシスミレ。花の後ろにある距(キョ)が細長く立ち上がっており、天狗の鼻のよう。スミレの同定は難しいのだけど、たぶん間違いないだろう。
ショウジョウバカマ
ショウジョウバカマも山道に当たり前のように咲いていて、ついついぞんざいに写してしまった。ギフチョウや山地の蝶が吸蜜しててくれないかなと期待していたものの、それもかなわず。
オオバキスミレ
日本海側に特有のスミレということらしい。葉が大きくて黄色いからオオバキスミレだろうと思ったのだけど、果たしてあっているのかどうか。1枚目と2枚目とでは、葉の形状が若干異なっているのが気になるところ。
アズマシロカネソウ
カタクリや雪割草の側で黄色と赤のツートンカラーの小さな花を着けていた。やはり日本海側の山地に特有の植物らしい。キンポウゲ科の植物なので、ツートンカラーの花弁に見える部分は萼片(がくへん)だろう。葉の形状がアズマイチゲに似ているように思う。
林床の薄暗く湿った場所に生えており高さ10cmほどだったこともあり、花のクローズアップがうまく写せず残念。今回の新潟行きでもっとも興味を引いた植物だったのだが。
エンレイソウ
やはり林床の薄暗く湿った土地に生えていたエンレイソウ。地面から伸びた茎の上に長さ15cmほどの大きな3枚の葉が開いており、その中心に小さな花をつけていた。濃紫色から緑色がかった花弁に見える部分は萼片ということで、花弁は生じないらしい。
雪割草
林床のわずかな斜面にひっそり咲いていた雪割草に木漏れ日があたっていた。種類でいうならミスミソウあるいはオオミスミソウと思うのだけど、カタクリ山あたりでは雪割草と呼ぶらしい。
東京で滅多にない積雪の中から出てくる鮮やかな花といえばフクジュソウくらいだが、雪国で残雪の中のカタクリや雪割草を見るとしたら、こちらとは違った格別なものがあるのだと思う。
サンカヨウ
カタクリ山からは少々離れた場所で写したものだが、雪国の春に咲くサンカヨウの花。フキに似た大き目の葉から小さな1枚葉が伸び、その上に花茎が伸びて白い透明感のある花を着けていた。
花びらが雨に濡れると透明になるということだから、霧吹きを持参するサンカヨウのファンもいるのかもしれない。
こちらは開花前のサンカヨウで、大きな葉の上に小さな葉があり、その中央に蕾ができていた。
エチゴルリソウ
名前のとおり新潟に多く分布するというエチゴルリソウ。春の新潟の山地を代表する花の一つということ。花径は10mmほどだった。
ファインダー越しに花を大きくみたとき、なんとなキュウリグサの花に似ているように思えてずっと気になっていた。この話を書くにあたって近所のキュウリグサを撮影してきた。
似てませんね。こちらは花径3mm程度でマクロレンズを使う練習に向いている花。
カンアオイ
カンアオイはギフチョウの食草なので注目せざるを得ない(?)。この写真のものは、葉に光沢があって葉裏も緑色だから、ユキグニカンアオイという種類かもしれない (wikipediaを参照)。花の周辺に新葉がでている。
こちらは花茎からのびた新しい葉の裏が紫色なので、コシノカンアオイなのかもしれない。土鈴のような花の大きさもずいぶん違っていた。
ギフチョウはカンアオイの新葉の裏に卵を産み付けるということだから、今ごろカタクリ山でカンアオイを調べてみるとギフチョウの卵がいくつも見つかるのかもしれないなぁ、とか思ってしまう。卵を見つけたとしても、来年の春への期待を高めておくだけにしておきたいわけだが。
こんなことを書いていたら、新潟のカタクリ山から写真が送られてきた。
コシノカンアオイの葉裏に黄色いギフチョウの卵が産みつけられている。手前の葉の大きさからするとずいぶん接近して撮影してくれた模様。来春への期待がいっそう高まりました。