4月の半ばに新潟県にある里山を訪れた。本来の名前があると思うのだけど、ここでは「カタクリ山」としておく。カタクリ山では、古い友人が山の維持や運営にかかわるボランティアをしていて、以前から遊びに行きたかったところの一つだった。ちょうどカタクリのシーズンにはギフチョウも出てくるよ、ということで新幹線に乗って訪れた。
カタクリ山の南西斜面一面にカタクリが咲いていた。あえて?手を入れていない場所のようで、足の踏み場に困るほど。どこで蝶を待てばよいのか迷ってしまうし、蝶が飛んできてもズカズカ踏み込んでいくのも躊躇われた。
ようやく写せたカタクリで吸蜜するギフチョウ。木々の中から飛んできて、わずかの間吸蜜して飛び去ってしまう。飛んでいる姿は、春の東京でよく見るアゲハチョウのように見えて最初のうちは小さめのナミアゲハが飛んでるんだろうと思ってしまった。よく考えると、この山にアゲハが出てくるのはもっと先になるだろう。
その後ギフチョウを求めて別の場所に移動したところ、そちらではすでにカタクリの花は終わっていたが、ギフチョウは健在。
おそらく産卵場所を求めて低く地面を飛ぶギフチョウがいたので撮影。
今回は、OM-D E-M1mkIIにMZD60mmマクロ、MZD12-40PROと、場所の様子が分からなかったこともありMZD40-150PRO + MC-14を持って行った。この組み合わせなら、首からぶら下げてちょっとした山道を歩くのも苦にならない。レンズをとっかえひっかえするのが面倒ではあるのだけど。
カタクリ山のトゲアリ
カタクリ山の倒木には小さな、というかアリとしてはふつうの大きさのトゲアリが住んでいた。体長6,7mmといったところ。背中に二対のトゲとアンテナ?がついている。地面に座り込んでマクロレンズで撮影。
噛まれても痛くない。
このトゲアリ君がカタクリやカンアオイの種をあちらこちらに運んで撒いてくれるらしいので、カタクリとギフチョウが見える環境を維持していくにあたってとても重要な生物だろう。倒木を残しておくのも意味のあること。
セセリチョウによく似た蛾
ギフチョウ以外にも蝶がいないかしら、と思っていたらカタクリの葉や茎に、一見セセリチョウに見えるムシがいた。
ちょっと近づくと飛び去ってしまうのであまり大きく写せなかったのだけど、帰ってから調べてみるとどうやらニホンセセリモドキという蛾の一種だった。1枚目の翅の下に毛束が見える。年一化ということだから、雪深い冬を越してきたのだろう。
その他のムシ
その他でくくってしまうのは申し訳ないような気もするが、カタクリ山では以下のような昆虫も撮影できた。
カタクリにコツバメ。吸蜜しているわけではなかったのたけど、花びらを舐めていたのかもしれない。
シモフリコメツキ。カタクリの葉や茎に集まる。樹木を除けば緑色の大きな葉はカタクリ以外にはないためだろうか。
テリトリーを主張するルリタテハ。近づいて撮影しようとするたびに、別のルリタテハがやってきて軽くバトルを始めてしまって困った。
カタクリで吸蜜中のビロウドツリアブ。東京で成虫を見ることができるのは3月半ば過ぎから4月初めにかけてに限定されるが、雪国のカタクリ山でもさほど遅れずに登場するようである。天気が良かったせいもあるのかブンブン飛んでいた。
ハスに(斜めに)走る線が点線になっている個体は初めて見た。
ようやく雪が消え越冬していたムシも姿を現し始めた時季だったのだろう。もうちょっと蝶を写せればよかったのだけど、4月の半ばから5月にかけての短い時期しか成虫が現れないという貴重なギフチョウを見ることができて、友人にはほんとうに感謝している。夏になる前にまた行かないと。
この話の続きとして、カタクリ山やその周辺で見た植物の写真も載せましたので、あわせてみてください。コシノカンアオイに産み付けられたギフチョウの卵の写真も追加しました。