クロスジフユエダシャク 2016

冬にでてくるシャクガ(おもに幼虫がシャクトリムシの蛾)の一部のことを「フユシャク」と呼ぶが、今年もフユシャクを見るシーズンになった。最初にでてくるのがクロスジフユエダシャクで、うちの近所では11月下旬から現れて12月半ば過ぎまで、午前中のクヌギやコナラの林の中をヒラヒラと飛ぶ姿を見ることができる。

交尾相手の♀を探して、♂が超低空をヒラヒラと飛んでいるところ。♀には飛べるだけの翅がないので、落ち葉の裏なんかでフェロモンを出しながら♂を待ち受けている。動画では1頭しか入っていないが、目で見えている範囲で10~20頭ほどがヒラヒラヒラッと飛んでいた。♀の姿を撮影したいので、♂が♀を見つけてくれるのをじっと待つのだけれど、冬の朝は寒いので風邪を引きそうになる。

クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都
クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都

♂が着地すると、そこに♀がいるんじゃないかと思って近寄ってみるが、上の写真のように翅表の色が枯葉色なので、すぐ近くでも見失うことも多い。見つかったとしても、だいたいの場合はただの休憩中なのでガッカリする。

クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都
クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都
クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都

休憩している枯葉をつまみあげて撮影。カメラにクリップオンしたフラッシュを使う都合でMZD60mmマクロを使用。30mmマクロで近接するときは、フラッシュを左手に持ってRCモードで使わないとレンズが影を作ってしまう。左手には枯葉を持っているから無理なので。

クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都

なかなか♀を見つけてくれないので、あきらめて引き揚げようとしていたら、ヒノキかサワラの樹皮に体長10mmほどの♀がとまっているのが奇跡的に見えた。陽射しが直接あたっていたので自然光で撮影(絞りf/8で1/80秒)。露出条件がいいので、OM-D E-M5IIのフォーカスブラケットを使って、手持ちでの深度合成用撮影も試みた。

クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都 (1コマ目)
クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都 (10コマ目)

これらの2枚は、フォーカスブラケットで10枚連写したうちの最初と最後にあたる。設定は、連写枚数は10枚とし、ピント移動量にあたるフォーカスステップは3とした。レンズの絞りはf/4(ssは1/320秒)。電子シャッターでの高速連写になるので、10枚で1秒ほどである。

クロスジフユエダシャク
クロスジフユエダシャク,2016年12月上旬,東京都 (深度合成)

10枚の画像をCombineZPというフリーソフトを用いて合成したもの。風の影響で触角の先が2本になっていたり、頭の周囲がモヤモヤしているのはご愛嬌で、自分的には前脚の先までピントが合っているように見えるので満足。

OM-D E-M5IIで気に入らない点の一つは、シャッターボタンの半押しから全押しの間にクリック感があること。押し込むための余計な力によってカメラにわずかな傾きが生じてしまう。ふつうの場合はさほど問題を感じないのだけど、フォーカスブラケットを使うときは、強力な手ブレ補正ゆえなのか1枚目だけわずかに傾きが変わってしまうことが多い。全押しして0.5秒後から連写開始とか、ハイレゾモードのような気の利いたことをしてくれてもいいと思うのだけど。