アカトンボの代表格である、アキアカネとナツアカネ。アキアカネは6月に、ナツアカネは7月に撮影したもので、未成熟な時期にあたる。
アキアカネの♂。東京地方では6月の下旬からたくさんでてきて飛んでいた。あまり活発ではなかったので、かなり接近することができた。前に載せたショウジョウトンボと同じように、ちょっと逆立ち気味だった。
目玉の上半分が赤く下半分が緑色になっているが、その境界のあたりに、赤いサングラスをずり上げて横目で見ているような具合の黒目っぽい部分がある。この黒目のおかげで、なんとも呑気な顔に見えてしまうが、この部分はいわゆる瞳孔ではなくて、観察者側に光が反射しないがために黒く見えてしまう偽瞳孔と呼ばれるものということです。トンボだけではなく、カマキリや蝶の目玉でも同じように観察できる。
アキアカネとナツアカネに限らずアカトンボの仲間はよく似ているから、翅や脚が付いた胸の部分を横から見た模様が分かるよう、可能な限りはこういう具合に真横から写しておくようにしている。この個体は胸横の3本の黒いスジのうち、真ん中のスジが途中でとがって終わっているからアキアカネだろう、ということになる。個人的には、飛んでいるところを肉眼で見ても、なかなか識別できないのだけれど。
一応、正面から。こういう具合に撮ろうとすると、f/8では被写界深度が浅く感じるが、風に揺れる生体を相手にし、その上手持ちでは深度合成を前提とした撮影は難しい。
いずれも6月も終わりに近い日に撮影したが、7月になって暑い日が続くようになると、アキアカネは都心の近郊から大挙して避暑地に移動してしまうようで、なかなか姿を見なくなる。9月半ば過ぎには、赤くなって帰ってくると思うのだけど。
こちらは7月の終わりころに樹液を出す木を探してうろうろしているとき、薄暗い森の中にいたナツアカネの♀をフラッシュを使って撮影。
アキアカネとそっくりだが、胸の横の模様が微妙に違う。そして、森で涼んでいるとはいえ、盛夏の東京にとどまっていられるのはナツアカネだろう。
足場が悪いというか、植物を踏んでズカズカ近寄るわけにもいかないので真横や正面からは撮れなかった。腹が黒ずみ始めているので、成熟期も近いのだろう。翅には蜘蛛の糸が絡みついていた。夏を乗り切るのもなかなか大変なのだろうと思った。