今年もクロハネシロヒゲナガをたくさん見ることができた。新緑の季節に明るい草原に現れる妖精といったところ。
♀は他のヒゲナガ蛾と同様に触角が短く、付け根の部分が太く見える。触角自体が太いというより、ビロード状の毛に包まれているせいだろう。翅を見た感じでは、雌雄の違いはなさそうに見えた。
4月の中旬(11~20日)の間は♂しか目にしなかったのだけど、下旬(21~31日)に入ると♀もたくさん出てきた。♀の近くに♂も数多くいたので、交尾でもしてくれないもんかなと思ってしばらく見ていたが、何も起こらず。
草原を歩いていると、草の間から白い糸がフワフワと、カクカクと揺れながら上がってきて動いていく。♂は長い触角を揺らしながら飛ぶのだけど、大した距離は稼げずにすぐに止まる。
当然のように、その様子を連写や動画に残そうとしているのだが、今のところ成功していない。小さなものなので、飛んでいる最中にピントを合わせることがなかなかできない。MFに設定してピントリングで合わせながら連写したりするのだけど、ファイルを削除するために撮影しているような結果になっている。
天気の良い日に背面から見ると、なるほど黒い翅に白い髭だな、と思うのだけど、こうしてちょっと曇った日に横からみると、ちっとも黒くないのである。マジョーラカラーとでもいうのか、見る角度に応じて微妙に色が変わる。
マクロレンジとフラッシュを使って撮影していたら、TTLオートのプリ発光で驚いたのか、飛び上がる瞬間が残っていた。翅を立てたところと開いたところの2つの瞬間が残っているように見えるが、たぶん立てたところでシャッターが開き、寝かせたところでフラッシュが発光したのだろう。シャッター速度は1/60だった。
ムシを写していて、ほとんどの場合フラッシュ光には反応しないのだけど、イチモンジセセリはプリ発光に反応して飛び去ることが多いように思う。もっとも、よく考えてみると蝶に対してフラッシュを使う機会はあまりないかな。特に最近は、長めのレンズ(210mm端とか)で電子シャッターを使ってじっくり、ということが増えてきたので。