ヒカゲチョウ (日陰蝶, Lethe sicelis)は、ジャノメチョウの仲間の地味な蝶。前年の秋に孵化した幼虫が越冬し、初夏に羽化して成虫が出現。その後1,2回の羽化を繰り返して秋に産卵して1年が終わるようだ。
ヒオドシチョウに続いて、蛹化の時点で見つけたヒカゲチョウが羽化するところを見ることができた。まだ後翅も完全に伸びてはおらず、若干撓んでいる。
「地味な蝶」と最初に書いてしまったのだけれど、名前のとおりに日陰で見ることが多いことからくる印象。こうして新鮮な翅を見るとニュアンスに富んでいるし、たまに木の葉の上で日光浴していたりすると、翔脈が陰影を生んでなかなかカッコいい。ただ、翅を開くとほぼ無地で暗くて本当に地味。
蛹化を開始したところ。尾でぶら下がり、腹筋運動のように頭を振り上げる動作を繰り返していた。
この2枚は別の個体で、上が2015/5/16, 下が2015/5/21に撮影。上の個体は西側に腹を向け、下のは東側に向けていた。当然ながら、できた蛹も逆方向を向いていた。
1枚目に載せた個体は5/21に蛹化を開始した方で、13日目で羽化したことになる。
蛹になって数日経過後。当初は見えなかった白いスジが生じていた。
羽化を開始したところ。翅が透けて見え始め、腹の部分の皮が割れている。これは5/16に蛹化を開始した蛹を5/29に撮影したものなので、14日目で羽化したことになる。
この日は朝から用事があったので、残念ながらこの段階(午前8時半)しか見ることができず、翌日蛹の抜け殻を確認することになった。
コナラの幹にいたヒカゲチョウの成虫。
ヒカゲチョウの成虫は用心深いというか、カメラを向けた気配を感じ取るのか、撮ろうとするとサッと飛び去ってしまうような印象なのだけど、樹液に未練があったのか、おとなしく写されてくれました。