この季節になると、かつての武蔵野の雑木林の雰囲気を残す公園の中に、キンランとギンランの花が咲く。いずれもラン科キンラン属の多年草で絶滅が危惧されている植物。
すでにカエデやミズキの葉が繁って薄暗くなった森の中で、黄色く明るい花がぽつんぽつんと佇んでいる。幸い、柵もなく立ち入りができる場所にも咲いているので、近寄ってマクロレンズを向けることもできた。
wikipediaによると、キンランは森の中の特定の樹木に依存して生存しているため、他の環境での人工栽培はきわめて難しいという。つまり、掘って持って帰ってもすぐに枯れてしまう。イヌシデ、コナラ、カエデなどさまざまな落葉樹で構成された雑木林の中にポツポツと生えており、どの樹木に依存しているのかは分からない。
ギンランは草丈や花の大きさもキンランよりずいぶん小さく、目立たない花なのだが、これも特に保護されていない枯葉の中で咲いていた。
上の写真をよく見ると、今年立ち上がった茎の脇に、去年の茎や実が枯れ残っている。こぼれ種で繁殖しているのか、花を着けないような小さな芽も枯葉の中から立ち上がっているのも見つけた。先日、ミドリヒゲナガを見たのとほとんど同じ場所でもあり、足元にもっと注意しないといかんなーと感じた。
午前中の陽射しを浴びる場所で、花が少し開いていた。マクロレンズではなく、MZD14-150IIを使って自然光で撮影。
きっとどなたかが、目立たぬように保護活動をされているのだと思うと頭が下がります。ある日行ったらごっそりなくなってました、なんてことがないといいのだけど。子供の遊び場でもあるので、ちょっと心配でもあります。