東京地方では、早春に咲くキンポウゲ科イチリンソウ属の掉尾を飾るように、ニリンソウとイチリンソウが咲いている。ソメイヨシノの開花と同じころにニリンソウが咲きはじめ、イチリンソウはだいたい1週間遅れた頃に咲きはじめた。これらの花が終わると、もう初夏の気分になる。
ニリンソウは、「ふ」の入った葉が地面に低く広がって群生している中から、ひょいひょいと茎が伸びて2cmくらいの小さな白い花を付ける。伸びた茎には、だいたいもう一つのツボミがついていて、そちらも伸びて同時に2つの花をつけていることもある。2つの花をつけるから二輪草だという。ただ、一輪のもあるし三輪のもある。
花冠の下で葉が茎を取り巻いているが、そこに二輪目のツボミが見えている。
それほど派手な花でもないのだけれど、4月になってだんだんと陽射しが強くなった中で咲くのでよく目立つ。花の白が飛ばないように写そうとすると、葉が真っ黒になったりして困る。なかなか半日陰で咲いている場面に巡り会わなくて。
ニリンソウの花をアップで。同属の他のイチゲ(一華)類と同様に、5枚見えるのは花びらではなくて、ガク片ということです。
こちらはイチリンソウ。ニリンソウに比べて花びら(ガクです)の形状にマルミがあり、花冠の大きさも4cmほどはある。やはり群落をつくるのだけど、ニリンソウほどは密集せずにポツポツと咲いており、風にゆらゆら揺れていた。
イチリンソウの花をアップで見ると、雄蕊の先の花粉の黄色いがよく目立つ。
イチリンソウもニリンソウも自宅の近所で見ることができるのだけど、だんだんとノカンゾウやオオアマナに侵食されてきていて、どうしたもんかなと思っている。成り行きに任せることになるだろうけど。
イチリンソウのつぼみ。外側がピンクがかっていた。開いた後もこのピンクがかった色は残っていて、集団で咲いているとピンクの花が混じっているかのように見えたりもする。
こちらは9月の終わりに撮影したシュウメイギクの花。やはりキンポウゲ科のイチリンソウ属ということで載せてみたが、あまり似てませんね。シュウメイギクは、花が終わった後、綿毛を作って種を風で飛散させるのも面白いところ。
イチリンソウ、ニリンソウと来れば当然サンリンソウも見たいところなのだけど、残念ながら近所ではまだ見つけていない。おそらく、イチリンソウに似た形状の細い葉で、ニリンソウのような花が咲いていれば、それがサンリンソウなのだと思う。サンリンソウとは言っても、必ずしも三輪の花をつけてるわけではないようです。