2019年のヒオドシチョウ

ちょっと前に、ヒオドシチョウの産卵や幼虫、蛹などを見たという話しを書いたのだけど、今回はその続きで今年の5月下旬に羽化したと思われる成虫の写真を何枚か。

ヒオドシチョウの蛹の抜け殻
ヒオドシチョウの蛹の抜け殻,2019年5月下旬,東京都

蛹はもう抜け殻になっていた。実のところ、羽化したばかりの翅を乾かしているようなシーンが見えるんじゃないかと思って、見つけておいた数か所の蛹を何度か見て回ったのだけど、残っているものはすべて抜けた後だった。ヒオドシチョウファンの仕業かとも思うのだけど、蛹が跡形もなく消え去っていたものも多かった。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都

最初に見た成虫は、今となっては珍しい電話ボックスにとまっていた。前翅に赤いシミがついているが、これは羽化するときに排出する赤い液体(蛹便)が染みたものではなかろうか。赤さが目立つほど新しい個体なのかも。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都
ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都

鮮やかなオレンジ色と外縁部の青い縁取りがきれい。林の中では樹液を吸う個体が3,4頭おり、ある程度まで接近しても飛び去ることなくモデルさんになってくれた。ただ、ある程度以上近づいたりすると、こちらに体当たりしたりしながらすごいスピードで飛び去ってしまう。もっとも、縄張りがあるのかお気に入りの場所なのか、しばらくすると帰ってくることもあった。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年6月上旬,東京都
ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都
ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都

陽が差すと翅を開いてくれるが、翳ると閉じてしまったりパタパタ開閉したりする。閉じたときに見える翅裏もニュアンスに富んでおりとてもきれい。角度を変えると色が変わって見えるし、翅裏の外縁部の青い鱗片も美しい。
もっとも翅を閉じたまま薄暗い林の中にいると、暗さに紛れてしまってなかなか見つけられないのだが。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年5月下旬,東京都

裏も表も毛深い。

OM-D E-M1mkIIにMZD300mm F4.0 + MC-14のセットで撮影(MC-14無しのもある)。この写真はだいたい2m以内から縦構図に構えて1/100秒とかでシャッターを切っているが、強力な手ブレ補正のおかげでなんとかなる。
気になるのは被写界深度の浅さで、絞るといってもシャッター速度やISO感度を考えるとf/8が限界。このレンズで手持ちで素直にフォーカスブラケット撮影するのは難しいので、何枚か連写したものを手動で合成するなども試みてはいるのだけど、ヒオドシチョウについては対象が大きく撮影距離が近くてバラつきが大きくうまくいってない。

最近、ブログに掲載する小画像のシャープネスが強めになるようプラグインを改造したので、ちょっとガビガビ気味か。画像をクリックしたときの画像については、若干強め程度なのでマシになってます。縦構図の場合1080PのFHDモニタでは足りないのだけど、4Kモニタあたりで見るとちょうどいい具合かと思います。

ヒオドシチョウ
ヒオドシチョウ,2019年6月上旬,東京都

6月に入ってからも撮影できたのだけど、そろそろ気温が上がってきているから、人目に付かない場所に姿を隠し来年の3月までゆっくり休むことになるのだろう。ヒオドシチョウが毛深いのは冬を越すためと思うのだけど、夏の暑さは逆に堪えるんだろうなあとか思った。