概要
先週、オリンパスの新しいマクロレンズ “M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro” が宅急便で届いた。既にOM-Dで60mmマクロを使っているのだけど、焦点距離が短いので狭い机の上でも使いやすそうなことと、最大撮影倍率が1.25倍あること、そして、比較的安価であることなどから入手することにした。
外観など
あまりに愛想や特徴のない、値段相応に思える外観。ピントリングの幅は広いが若干重めに感じるが、製品間の個体差もあるだろう。
46mm径のフィルタがはまる鏡筒に比べてレンズの前玉は小さ目。これだけ隙間があるのだから、小さなLEDを並べた照明を用意してくれればよかったのに、と思う。
近接撮影
きわめて適当だが、こんな具合にして定規を写してみた。E-PM2を使ったのは手軽なこととマクロアームライトのMAL-1が装着できるから。
ほぼ等倍。等倍時はセンサーサイズだから17×13mmの矩形が写る。レンズ先端から定規まで20mm弱だった。
レンズの仕様によれば、最大撮影倍率(1.25倍)のとき、13.9×10.4mmの矩形が写ることになっている。このとき、レンズの先端から約10mm強。MZD60mmマクロと違って、ピント位置を等倍までもっていくスイッチがないので、微動スライダーを動かしてはAFさせて位置決めした。近接撮影時でもAF(S-AF)が素早く動くのは間違いない。
いずれも、カメラ自体(センサー面)が完全な水平になっていないし、アルミの定規自体にも目盛り向かって傾斜がついているから、あくまでも目安の数字ということになる。
最近よく写している小さなArduinoの基板を写してみるとこんな具合だった。
見えにくいが、E-PM2の背面液晶に基板全体が収まっている。全体を写すならばこれくらいの場所があれば済むことになる。レンズの前には、ハクバのねじ込み式のレンズフードを着けている。前玉の露出が少ないからたぶんフードはなくてもいいのだろうが、外で使うとき用に保護も兼ねて着けてみた。
46mm径用のフードだが、先端には58mmのフィルタネジが切ってあるし、58mm用の安価なキャップもそのまま着くのがいいところ。ただ、46mm径のプロテクトフィルタとこのフードを合わせた長さが25mm程度あるから、装着したままでは等倍撮影が難しくなってしまうが。
外でも使ってみた
OM-D E-M1mkIIのお披露目があった土曜日は冷たい雨に降られたが、日曜日は好天に恵まれたこともあり、E-M5 mkIIにこのレンズを着けて手持ちで使ってみた。
ムシ
最初に写したのがナミテントウだったのだけど、60mmマクロを使ったときの感覚で近寄ると全然大きく写らない。60mmマクロならば、レンズ先端から8cmくらいで等倍近辺になるから、そういうつもりで膝を下ろして構えると全然遠い。オデコでカメラを固定するのをあきらめ、しょうしょう腕を伸ばして撮影したが、ずいぶんな低倍率でシャッター押してしまっている。
2枚目のキンケハラナガツチバチの右側に、レンズが作った影が入ってしまった。このレンズで大きく撮ろうと思うとググッと近寄る必要があるから、特に朝のうちはレンズやカメラの影をずいぶん気にする必要がありそう。
3枚目は絞り開放(f/3.5)で。
冬が近づいてなかなかムシにも出会えなかったのだけど、このレンズで生きている昆虫を相手にするのは難しそうだと感じた。
草花
写しやすそうな場所にタイワンホトトギスが咲いていた。
トリミングではなくて、距離を変えながら2枚撮影。近接→近接ならばAFがよく合うので、手軽に花の中に入りこめる感じ。ただ、呼吸で花が揺れるので、息を止めておく必要があるが。
キバナコスモスがしぶとく咲いていた。
ツバキの花の蕊と葯。
その他
小さな水路を勢いよく水が流れていた。f/3.5, 1/1250秒。光の反射がわずかに紫色になっている。
刈取りのおわったひつじ田と黄葉、紅葉。60mmマクロの画角は20°だが、30mmマクロはその倍の40°ある。おかげである程度広い範囲が収まる。
きょうのまとめ
このレンズの良さみたいなところが、まったく出ていない投稿になってしまった。イージーに使えるが、真価を引き出すには慣れやスキルが必要、という感じか。
60mmマクロを使ってる人が、このレンズを選択する理由は画角の広さか。ちょっと風景をスナップしたいとき、あまり後ずさりしなくても、より多くの要素を取り入れることができるし、近寄ったときの背景もいくらか広くなる。
では、12-40PRO使ってる人にとってはどうなの? となると、外で使うときは重さ(と値段)の違いか。30mmマクロで倍率0.3で撮るならば、12-40PROの40mm端の0.3倍の方が楽だろう。0.3倍というのは、例えば体長20mmのムシを写したときに、センサー上に約6mmの像を結ぶから、出来上がりを見たとき、そのムシが画像の横幅の1/3強を占める程度の倍率。ちょうど、キンケハラナガツチバチの1枚目の写真程度の大きさだろう。
このレンズの価値は、ワーキングディスタンス(おおまかには、レンズ先端から被写体までの距離)の短さと、カメラを含めたシステムのコンパクトさを活かした卓上での小物の撮影や、等倍またはそれ以上の倍率を使って、小さなものを大きくして見ることにあるだろう。
それにしても、レンズ先端から10~20mmまで寄せる必要があるんじゃ、先に着けるタイプのLEDリングライトも使いづらい。できれば外に持ち出せるような、軽くて都合のいい照明を作らないといけない、と思って構想中です。
追記:この次に、MZD30mmで、もうちょっと寄って撮ったムシを掲載しました。