ハンミョウ
ハンミョウ (Cicindela japonica) はとても美しい。ちょっと郊外の公園や小川のほとりなんかを歩くとき、ハンミョウのことが頭に浮かぶと、しばらくの間は地面を見ながらゆっくりゆっくり歩いてしまう。
体長は20mmほどなので、さほど小さくはないのだけどよく動く。マクロレンズで接近すると飛ばれたときに見失いがちだと思ったので、ばたばた歩み寄ったりせずに、長いレンズに交換してで2mちょっとの位置に腰を下ろして撮影した。このときは、かえって近寄ってきてくれたりしたので助かった。
ここではハンミョウとしたが、ナミハンミョウという呼び名もあるらしい。ナミアゲハ、ナミテントウ、ナミハナアブ といった具合にもっとも普通に目にする種に「ナミ」がつけられているようだ。「並」という語は「そこらにいる」、「どうってことのない」、「上等ではない」と思わせるから好ましく思えない (個人の印象です)。
歩み去ろうとして振り返るハンミョウ。立派な口器を備えている。ミミズとか捕まえて食べるんだろうか。
残念ながら、誰かが接写用のコンデジ(TG)を持って近づいた途端に木の上に飛んでしまった。横からみると斑紋の色が違って見えた。
いつも探しているんですが、このとき以来遭遇できてないのが残念。
トウキョウヒメハンミョウ
トウキョウヒメハンミョウ (Cylindera kaleea yedoensis) は小さくて地味。学名の yedoensis は「江戸の」ということなのだろう、桜の代表的な園芸品種のソメイヨシノの学名にも、yedoensis が含まれている。
体長10mmちょっとだろうか。年に何度か遭遇するのだけど、体色が地味で小さいせいか、気がつくとそこにいたということが多い。マクロレンズを使っているときなど、近寄ろうとするとハエのようにさっと飛び去ってしまう。
1枚目は2016年でこちらは2020年だが、いずれも同じ公園の同じような場所で撮影。今年はマクロレンズで一度逃げられ、超望遠レンズを使ってようやく写せた。
トウキョウヒメハンミョウという名前だが、東京以外にも生息しており、まずまず並にいるようです。
マルクビツチハンミョウ
ハンミョウという名前が付いているのでついでに載せたが、上の2種がオサムシ科ハンミョウ亜科に分類されているのに対し、このマルクビツチハンミョウ (Meloe corvinus) は、ツチハンミョウ科に属している。名前は似ているがほとんど関係のないムシ。
ギンイチモンジセセリを写しに行ったら、体長25mmほどの真っ黒い変なムシが小川沿いの道ばたに生えた、たぶんススキの葉にしがみついていたので撮影した。腹部いっぱいに卵を抱えたメスの個体と思うのだが、卵は地中に産み落とすそうなので何をしていたんだろうか。
wikipediaによれば、マルクビツチハンミョウの幼虫は「単独生活するハナバチ類の巣に寄生して成長する」らしい。ちょうど、同じ時季、同じ場所で宿主になるかもしれないシロスジヒゲナガハナバチの雌雄を撮影していたので、載せておきます。
ヒゲが長い方がオス。オスの背中に何か白いものが付いているのが気になるが、判別できない。
マルクビツチハンミョウの幼虫は、こういったハナバチが集まる花に潜んでいて、宿主にくっついて地中の巣まで運んでもらう。その中で、ハナバチの卵だの、ハナバチが子孫のために蓄えた花粉だのを食べて成長し、過変態という変わった過程を経て成虫になるとのことで、姿に違わぬ妙なムシの一つ。