Olympus Captureで深度合成用撮影

小さい物を写すための撮影方法としてフォーカススタッキングと呼ばれる技法があって、対象物をピント面でスライスするような具合に次々に写していく。フォーカス部分を積み重ねていくから、フォーカススタック。
そして、何枚かの画像の中からピントのあっている部分だけを取り出して合成し、結果として対象物全体にピントがあっているような写真を作り出す。被写界深度の範囲内(つまりピントがあっている面)を合成していくことで、普通のレンズでは及ばないほどのピントの深さをもつ写真ができるので、深度合成とも呼ばれる。

Olympus CaptureというソフトウェアはOM-D E-M1とE-M5IIをPCから制御して撮影するためのもので、微妙にピント面を動かしながら撮影することができる(実はつい最近まで知らなかった)。
この動画は、体長30mmほどの金魚の模型を、Olympus CaptureにつないだE-M5II + MZD60mmで撮影している場面を写したもの。
最初に S-AF/AELと書かれたボタンをクリックしてフォーカス枠上にピントをあわせ、その後「MF操作」と書かれた画面上のボタンをクリックすることでピントが変化していく様子を示している。動画ではピントを動かしているだけだが、そのたびごとにシャッターボタンをクリックして撮影すれば、微妙にピント面の動いた写真を次々に得ることができる。

金魚の口実際にE-M5IIが写したもので、一番右端の口吻にピントを合わせている。絞りはf/5.6。被写界深度が浅いので、シッポの先までは当然ピントが合わない。

金魚の尾こちらは左端の尾の先にピントを合わせたもの。

金魚_f16これは、f/16まで絞って撮影したものだが、ピントがあっている部分は増えたが尾の先までは届いていない。ピントがあっている部分にしても、f/5.6のときに比べれば若干ぼんやり気味になっている。

composed最後に、18枚の画像を深度合成して得たjpegファイル。各部にしっかりピントがあっている。拡大してよく見ると少々アラがあるのだが、レタッチ用のソフトがあれば修復可能な範囲である。深度合成には、CombineZPという古いフリーソフトウェアを用いた。ソースも公開されている。
この組み合わせに問題点があるとすれば、PCが必要なこと、三脚が必要なこと、自然界の昆虫や生物はじっとしていてくれないことだろう。

Olympus Capture+E-M5IIでピント面が動かせるのならば、AIR A01 + CAMERA KIT SDK でもできていいじゃないの、と思う。Arduinoか何かでSTMを制御し、レンズのピントリングを回しながら20枚くらい自動撮影する仕組みもアリだとは思うのだが、カメラのファームウェアとSDKの更新で実現できるならば、その方がいい。回すものを作るならばピントリングよりも、カメラ自体を回したり傾けたりした方が楽しそうでもある。