OM-D E-M5 MarkIIのハイレゾショット

OM-D E-M5 MarkII(以下E-M5II)が発売になり、早速入手してしまった。E-M1と E-M10というよく似たカメラを使っているのに、またですか的な気がしないわけではないが、E-M5IIで導入された電子シャッターによる無音撮影機能、マクロ撮影に心強い手ブレ補正の強化、そして、ようやくまともになってきた動画撮影機能に背中を押された。現有のカメラと、レンズも画質も使い方も同じという面倒の無さもあって即決。

OM-D
また増えちゃったよ

ざっと使ってみたところでは、以前に使っていたE-M5(無印)からは、格段に機能も性能も向上していることを実感した。見た目の良さはE-M1を超えている。メカシャッター音の軽さもある種気持ちいい。もっとも、イメージセンサーや内部の画像処理エンジンは、E-M10やE-M1とさほど変わらないのだが、今できることを全部入れてみました的なカメラである。

E-M5II
OM-D E-M5II + MZD14-150II

E-M5IIに入っている新機能の一つが、4000万画素の画像を生成してくれる「40Mハイレゾショット」というもので、メーカーサイトによると、

美術品や風景など、より高解像の写真が求められるシーンに適した40Mハイレゾショット機能を搭載。0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら、8回撮影した画像をもとに40Mセンサー相当の高解像写真を生成します。

ということ。

現在のOM-Dは有効約1600万画素のイメージセンサーを使っており、その寸法は17.3mm × 13.0mmである。生成される画像サイズが 4608 × 3456ピクセルなので1ピクセルを得るためのセンサー上の大きさは、大雑把にいって縦横3.75μmである。これを0.5ピクセル単位で動かしながらということなので、約1.88μmの精度でイメージセンサーを動かしますよ、という機能。すごいですね。
ほとんど三脚を使わない自分にはあまり縁のない機能ではあるのだけど、一度は使っておくかと思って試してみた。

ハイレゾショットを選択して1回シャッターを押すと、3種類のファイルが保存される(RAW + JPEG保存時)。

  • 連続8ショットのうちの初回のRAW(ORIファイル)
    (4608×3456pix = 16Mpix, 約15MBytes)
  • 8ショット分を合成したRAW(ORFファイル)
    (9216×6912pix = 64Mpix、約100MBytes)
  • RAWファイルを基にカメラ内で生成したJPEG
    (7296×5472pix = 40Mpix、約18MBytes)

JPEGの品質や写っている内容によってファイルサイズは前後するが、シャッター1回押すだけで合計 133MBytesです。とりあえず入れた16GBytesのSDでは、最初から残り100枚ちょっとしか撮れませんと表示されてショックを受けた。また、ハイレゾショットでRAWを保存する設定がなかなか見つからず、結構探してしまった。

フロックス
宿根フロックスの一種。寒さに強い。

無風時をねらって何度か撮影した中の1枚。これはハイレゾ用マルチショットの初回RAW(ORIファイル)をオリンパスビューワー3でJPEGにした画像で、今回の全景である。クリックするといくらか大きく表示されます。
ハイレゾショットを使うときには、頑丈な三脚、静止した被写体、レリーズショックの回避が必須ということ。庭の花に向けて三脚を設置し、レリーズ後8秒で撮影が行われるように設定した。レンズはM.Zuiko Digital 60mm F2.8を使った。シャッターの動作モードとしてハイレゾショットを選択していると、絞りはf/8までになる。もっと絞りたいのだけど。外で撮ろうとすると難敵は風で、花がゆらゆら揺れてしまってエラク時間がかかってしまった。マクロレンズで30cmほどの距離から撮っているため、影響が顕著だった。

ノーマル切出し
ORI由来のJPEGからの切出し
ハイレゾ切出し
ハイレゾ合成結果の切出し

さきほどの全景から、蕊の部分を等倍で切り出したもの(1200×900で切り出し)。なんとなく、ピントが甘いような印象もあるものの、ハイレゾ合成画像の方が、細かいところまで写っているのが分かる。画像をクリックすると、いくらか大きく表示されます。

網目
わずかな風の影響を受ける

 

無風と思っても呼吸で花が揺れるのか、40MpixのJPEG画像を観察してると、一部に網目がかかったようになっていることがあった。ショット-ショット間に被写体が動いてしまって、本来収まるべきところからずれてしまったためだろう。画像をクリックして大きくすると、蕊の周りにアミが掛かっているが見えると思います。拡大しなければ、通常の画像と大した違いはないのだが。

残念なことに、64MpixのRAWファイルを無料ソフトであるオリンパスビューワー3では今のところ現像処理することができない(2015年中に対応予定らしい)。Adobeのソフト(64bit版限定)にオリンパス製のプラグインを入れると今すぐにできるらしいのだが、持ってないので。Adobeのソフトを買うことより、このソフトを気持ちよく使うのに必要なリッチなPCをどうにかしないと、モニタも4Kにするか、とかなんとかで二の足を踏んでしまうのだった。

いろいろと手間はかかるものの、イメージセンサー自体の能力を超えた高解像な画像を手に入れることができるのは悪くない、いや、素晴らしいですね。道具の付加価値が技術的な工夫で増していくのは気持ち良い。
困った問題としては、個人的にハイレゾショットの被写体や撮影する状況をなかなか思い付かないのである。バラが咲いたら使ってみるか。あるいは、広大な風景でも撮ってみますかね。