今年の春はめぐり合わせがよくて、三種類のイチゲの花を見ることができた。イチゲというのは「一華」とも書くそうで、一輪の花という意味だろうか、たしかにすべてキンポウゲ科イチリンソウ属の植物であり、早春にだけ姿を見せるSpring ephemeralである。
井の頭公園のフクジュソウの花が終わり、葉が蔓延ってきたな、と思ったら隣でアズマイチゲが咲いていた。花の上で手を擦り合わせているのは、ツマグロキンバエというハエの仲間。
E-M10に、MZD14-150IIを着けて150mm端で撮影した。花(実際にはガク)の直径は2~3cmなのだけど、これくらいの大きさならば、マクロレンズがなくてもなんとかなる。
アズマイチゲの特徴は、一つ前の写真のように蕊の付け根の部分が白くないこと。そして、あまり切れ込みが深くない葉っぱがダラ~ンと垂れ下がっていることのようである。この写真の花の花柄には結構毛が生えているのだが、毛の有無は種類を判断する基準にならないということだった。
野川公園の自然観察園で見たキクザキイチゲ。ちょっと出遅れ気味のせいで、あまり花を見れなかった。この花の色(実際はガクの色)は白いがいろいろあるようだ。雄蕊を支える花糸も白く、花粉の部分も白い。花糸の付け根も白かった。アズマイチゲとよく似て見えるが、葉の切れ込みが深く垂れ下がっていない。
こちらも葉っぱの見かけからするとキクザキイチゲなのだけど、時刻が早かったせいかまだ開いていなかった。こういう具合の花を見ると、吉田拓郎の「こっちを向いてくれ」とか思い浮かべてしまうのでした。
以前にも載せた神代植物園のユキワリイチゲ。花糸は白くて先端の花粉の部分が黄色い。アズマイチゲやキクザキイチゲとの見分けは、葉の形や色で行うのが確実ということ。これは、MZD40-150PRO+MC-14の210mm端で撮影したもの。
イチリンソウ属の代表?のイチリンソウは、武蔵野方面では、だいたい桜の見ごろが終わったころ、4月10~20日あたりに花を見ることができる。ニリンソウはそれより1週間早いあたりから始まるはず。
E-M10とMZD14-150IIの組合せは、想定通りに天気の良い日の、被写体まで1m以内での撮影に活躍しそうである。広角側を使った広い風景なんかについては、ちょっと気になる面もあるのだけど。